Thinking TODAY

[ 2009.10.14 ]

CEATEC JAPAN 2009:進むデジタルコンバージェンス

情報技術研究センター 研究員 小関悠

「デジタルコンバージェンス」という言葉をご存知だろうか。10月6日(火)から10月10日(土)まで幕張メッセで開催されたCEATEC JAPAN 2009のテーマは「デジタルコンバージェンスが明日をつくる、未来へつなぐ。」であった。CEATEC JAPANは毎年この時期に開催される家電・エレクトロニクス分野の巨大展示会であり、毎年初頭に米国で開催されるCES、秋にドイツで開催されるIFAと並ぶ3大展示会のひとつである。

CEATEC JAPANがデジタルコンバージェンスという語をテーマに用いるようになったのは2006年のこと。その意味は詳しく説明されていないが、コンバージェンス(convergence)を日本語で言うと、集中・合致・収束。さまざまな製品・企業・業界がデジタル分野を媒介に収束・融合していくことをデジタルコンバージェンスと呼ぶのだろう。IT社会により世の中は変わったと言われるが、本質的に変わるのはまだこれからだとCEATEC JAPANは考えているようだ。

本当だろうか---。実際の展示を振り返ってみよう。多数の製品やサービスが並ぶなか、まず話題を集めたのは東芝のハイエンド液晶テレビ「CELLレグザ」であった。ソニーのゲーム機PS3にも搭載されている高速なCELLプロセッサを用いた初めてのテレビであり、その処理能力を生かして地上波デジタル放送を8チャンネル同時に約26時間分録画できる。つまり過去26時間に地上波で放映されていた番組であれば好きなところから見ることができるのである。

近年、ハードディスクレコーダーの普及でテレビの視聴方法は大きく変わったが、さらにCELLレグザのようなテレビが一般化すれば、ますますテレビのあり方が変わっていくだろう。視聴率の意義は薄れ、放送業界や広告業界は再考が求められ、テレビ広告を出稿するさまざまな企業も広告戦略の立て直しが必要になる。こうした多くの業界を巻き込む変革こそ、まさにデジタルコンバージェンスではないだろうか。

また、CELLレグザに限らず今年はテレビが注目を集めた年であった。 シャープ、パナソニック、ソニー、東芝などの各メーカーは、軒並みメガネをかけて3D映像の楽しめるテレビをアピールしており、テレビ新時代の到来を予感させた。特にソニーはメガネなしの場合は2D映像として見ることができるという強みをアピールしていた。パナソニックは発売済みのYouTubeが見られるテレビに加え、Googleマップ機能も備えたテレビを展示し、PCとの融合をまた一歩進めた。アナログ停波を目前に控え、買い換え需要が見込むメーカー各社は、テレビにさらなる付加価値を与えようとしている。

こうしたテレビの復権は、一方で携帯電話に代表されるモバイル端末の多機能化に対する危機意識のあらわれと読み取ることもできる。一人1台と今やテレビ以上に普及した携帯電話は、高速な3G通信、ワンセグ放送などエンターテイメント機能を拡充し、テレビ離れ・PC離れを促しているようにさえ見える。CEATEC JAPANでもデジタルカメラやフォトスタンドと高速に通信するTransferJet技術や、アナログ停波後の電波を携帯電話向けに動画配信サービスに活用する技術などが展示されていた。携帯電話は、ますます個人用エンターテイメント端末の核となりつつある。

さまざまな製品・企業・業界がデジタル分野を媒介に収束・融合していくということは、裏を返せばこれまで各社が確保していた市場が曖昧になり、市場競争が激しくなるということである。テレビ、携帯電話、PC、これらのどれもが放送を受信できるようになり、ネットワークから高速に情報を入手できるようになったとき、ユーザーは何を選ぶのだろうか。大型化・3D化を進めるテレビか、エンターテイメント性の向上を狙う携帯電話か、それともWiMAX技術などでさらなるモバイル化を促進するPCか。ニンテンドーDSのような携帯ゲーム機や、iPodのようなデジタルオーディオプレーヤーも多機能化している。そうしたなかで私たちの選ぶものこそ、デジタルコンバージェンスの先にあるものなのである。


大勢の人が集まったCELLレグザ会場

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テレビで映し出されるgoogleマップ

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写真:三菱総合研究所

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