プロジェクト紹介

科学技術基本計画と科学技術イノベーション総合戦略のフォローアップ調査

プロジェクトメンバー:
高谷徹
科学・安全政策研究本部 産業イノベーション戦略グループ 主席研究員など

内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)の委託による大規模プロジェクト。「第4期科学技術基本計画」における科学技術イノベーションのシステム改革等に関する事項について、フォローアップ調査に必要な情報の収集および分析を行った。また、「第4期科学技術基本計画」と密接に関連するテーマが盛り込まれている「科学技術イノベーション総合戦略」第3章についても、「年報」をとりまとめていくために必要な情報収集および分析を一体的に実施した。

フォローアップとは

わが国では、5年に1回、科学技術政策の土台となる「科学技術基本計画」を策定している。これは科学技術振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための計画である。フォローアップとは、計画の中間に行われる進捗状況の確認であり、これをもとに次期計画の確定に進む。現在は第4期計画が進行しているが、2016年度からの第5期の計画策定に向けて、第4期のフォローアップが行われることとなっていた。当社は、このフォローアップのシステム改革部分に必要となる資料の収集・分析を担当した。
当社は第2期(2000年~)のフォローアップから関わっている。統計資料やデータから情報を収集することが多いが、研究者へのインタビューやアンケート調査も実施する。

目指すべき国の姿

  • 1.震災から復興、再生を遂げ、将来にわたる持続的な成長と社会の発展を実現する国

  • 2.安全かつ豊かで質の高い国民生活を実現する国

  • 3.大規模自然災害など地球規模の問題解決に先導的に取り組む国

  • 4.国家存立の基盤となる科学技術を保持する国

  • 5.大規模自然災害など地球規模の問題解決に先導的に取り組む国

本プロジェクトの主な調査と結果

第4期基本計画の進捗に関するデータの収集・分析

基本計画の進捗について、約300の指標から詳細な分析を行った。

分野横断テーマの調査・研究事例:日本の大学に関するレピュテーション調査

わが国が「頭脳循環(ブレインサーキュレーション)」の潮流から取り残されている原因は、研究水準以外の要因があるのではないかという観点から調査を実施。その結果、わが国の大学や研究機関は「研究水準」や「研究施設・設備」に対して高い評価が得られているが、「英語力の不足」が大きな課題であることを指摘した。
レピュテーションについても、中国、韓国やシンガポールの大学など新興国の台頭によるプレイヤーの増加によって、わが国の大学は相対的な地位の低下が生じている。日本の研究への評価は高い一方で、トップ大学や国際的研究機関(WPI)などを除くと個別の研究機関の認知度が低いため、実力があるにも関わらず、海外研究者にとっての選択肢にあがっていない可能性があることがわかった。

分野横断テーマの調査・研究事例:イノベーション需要サイドの調査

科学技術イノベーション政策を具体的な成果に結びつけるにあたり、需要喚起を促す施策が不足しているのではないかという観点から調査を実施。その結果、欧米では、同施策の研究が進んでおり、実際に導入・適用されて効果を上げていることがわかった。中でも、公共調達はイノベーション政策の実現手段のひとつとして認識されており、行政データの測定や政策への活用についての検討が進められていた。しかしわが国では、調達において価格が重視されてきており、公共調達をイノベーションの加速のために利用するためは、制度の壁、意識の壁、能力の壁の3つの壁を越える必要があることがわかった。

Interview

高谷 徹
科学・安全政策研究本部 産業イノベーション戦略グループ
主席研究員 1993年入社
総合理工学研究科 材料科学専攻 修了

本プロジェクトの特徴は?
短期間かつ大規模だったことに尽きますね。外部のパートナーにもサポートしてもらいながら、全部で約1400ページの報告書をまとめあげました。私はこれまでも大規模プロジェクトへメンバーとしては参加経験がありましたが、今回は初めてプロジェクトリーダーとしてこのプロジェクトに参加しました。規模が大きいと、必然的に多くのメンバーが必要になり、チームのマネジメント方法も通常とは異なってきます。ある程度チームを階層化しなくてはいけませんし、会議のやり方やメールのやりとりもルールを決めて進め、意思疎通を図りました。調整には苦労しましたが、リーダーとしての責任は全うできたと感じています。
メンバーの取りまとめに苦労したのでは?
全部で40人もいたので、彼らのモチベーションを高めることに注力しましたね。受託が決まってから、まず全員を集めて決起集会をやりました。そこでチームの目的をしっかり共有してもらったんです。また、各メンバーがお客様のもとを訪問して直接お話を伺えるような機会も意識的に設けました。そしてこれはどんなプロジェクトにも言えることですが、プロジェクト終了後の「振り返り」は特に重要だと思っています。「きちんと意思疎通がとれていたのか?」「会議の進め方に問題はなかったのか?」といった細かい部分まで意見を述べ合いました。忌憚なく振り返ることで次への糧になりますね。私自身も学ぶことは多かったですし、私がメンバーとして参加したときと同様、彼らにも財産にしてもらいたですね。
今後の課題は?
本プロジェクトで俎上に載った科学技術政策の課題には、第4期計画以前から顕在化していたものも多く見られました。こうした課題がなぜ解決が遅れているかといえば、科学技術政策という一分野にはとどまらないほどの大きな問題だからと感じました。労働環境、産業構造など、様々な観点から検討する必要がありそうです。
企業の方とも議論する機会がありますが、個別分野の専門性に留まらず、大局的な視点の重要性を感じます。また、客観的なデータに基づいて議論することが重要であるという認識も拡がっていますので、今後、ますます議論が深化していくことを期待していますし、その中で役割を果たしていければと考えています。

(所属および内容は取材当時のものです)

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