プロジェクト紹介

技術組織改革 技術力の 「見える化」で新たなビジネスチャンスを 〜日本の製造業の復活に向けて〜

プロジェクトメンバー:
経営コンサルティング本部 人材・組織戦略グループ
主席研究員 魚住剛一郎
研究員 原田晃次
研究員 片山進

昨今、研究開発に求められる価値の軸足が、既存の製品サービスの競争力向上から、新たな事業構築へとシフトしてきている。経営層を始めとして変化への期待が大きくなる一方で、過去の延長線から脱却できず「次の一手の道筋が見えない」という研究開発組織が多くなってきている。その解決のために、当社独自の方法論を用い研究所の技術力を見える化することにより、現状の強みと弱み、クリアすべき課題と次の一手を明らかにしたのが本プロジェクトである。

企業の技術力を見える化し、次の一手の道筋を示す

本件は、当社のサービスに興味をもった民間企業の技術企画部門トップの方からウェブサイト経由で問い合わせいただいたことから始動した。その内容は「研究所は本来、新しいモノを生み出すための組織なのに実現できていない」「経費ばかりがかかっている」といった、経営に関する深刻な相談であった。当社は、まず取り組むべきは現状を浮き彫りにすることであると判断し、すでに知見として持っていた研究組織の現状を詳らかにする方法論を提案し、承諾をいただいた上で、技術者や研究者の行動や思考を誰にでも理解できるようにする"見える化"を行った。

独自開発の技術力マップで "見える化"を実現

新しいものを生み出せない組織風土で、
市場から求められる技術と
自社組織にギャップがあった

お客様の現状を把握する意味でヒアリングは重要となる。本件でも、経営者や技術者に対して様々な観点からヒアリングを行った。その結果、「10年後を見据えて会社は何をしたらいいのか」という課題を経営者が認識している一方で、技術者たちは、自らの専門分野に深く取り組むあまり、分野外の課題に対して意識が低い傾向があることがわかった。例としては、今後ビッグデータの取り扱いが重要となってくることが予見されていても、新しい分野ゆえに誰も手をつけられていない状況であったことなどが挙げられる。

技術力マップで "見える化"を実現

ヒアリング結果を踏まえ、現状の強みと市場環境を踏まえた研究開発の方向性の設定、市場・技術動向の調査、顧客の研究・技術企画力強化のためのトレーニング、組織風土改革に関わる取り組みの一連のサポートなどの施策を、顧客と継続的な関係を構築しながら実施した。施策のコアとなったのは、自社の技術要素をマッピングした技術力マップである。技術要素を分解・網羅したうえで、現状のノウハウと重要度の関連を示し、研究領域ごとの人員の投入状況を整理した。このように技術力を見える化することにより、今後の重要な技術領域と現在の技術力の強みにギャップがあることが実証され、また過去の延長線上の研究だけでなく新しいものを生み出すための風土改革が必要であることが明らかとなった。

人材組織戦略グループとして新たな事業領域への挑戦

分析の結果は危機感として共有され、お客様から高い納得感が得られた。また、次の意思決定にもつながっている。次の意思決定とは、「どのように人材を育成、配置すべきか」「どんな人材を採用すべきか」という人材組織戦略上の提案であり、また「次の有望な研究テーマ」という技術戦略上の提案である。現在、弱みを補完するための人材育成を行うと同時に、強みを活かした新しい事業領域の探索も継続されている。

Interview

魚住 剛一郎
主席研究員 1997年入社
理工学研究科 管理工学専攻 修了

メンバーの役割は?

魚住:
私がプロジェクトリーダーとして、片山と原田を選出しプロジェクトを遂行してもらいました。当社はマルチタスクなので、メンバーが抱えている仕事の状況や各々の得意領域を見定めながら決めました。一方で、若手の育成を考え、メンバーの多様性・多能化も重視しています。いろいろなテーマに携わってもらうことで、知識・経験を蓄積してもらい長期的に活躍できる力をつけてほしいと願っています。

日本の製造業の問題点は?

原田:
わが国の製造業は「高い技術力を有しながら収益に結びつけることが苦手」と言われていますが、この一因には「技術企画力の弱さ」があると思います。研究目標を設定し、それに対して研究者が成果を出すことが今後は求められます。そのためには、技術開発の方向性を設定する、不足するリソースは社外と連携し確保する、アイデアを生み出せる風土を根付かせる、など数多くの課題をクリアする必要がありますね。また、研究者のモチベーションを上げることも重要です。適切な目標を設定できる体制を整え、やりがいをもって働いてもらえるようにすることも大切です。

原田 晃次
研究員 2009年入社
工学系研究科 精密機械工学専攻 修了

今後の展望は?

片山:
今回のような取り組みは、十分な体制もノウハウもない一企業ではなかなか実現できることではありません。ですから当社が技術企画機能をサポートすることで国と企業をつなぐ「ハブ機能」となり、わが国の製造業復権に貢献していきたいですね。技術力には定評のある当社だからこそ、できるサービスだと思っています。

片山 進
研究員 2010年入社
新領域創成科学研究科 人間環境学専攻 修了

(所属および内容は取材当時のものです)

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