マイナンバーを活用した官民連携の今後

■5つの活用モデルと実現に向けた課題

本調査では、民間事業者が個人番号カードを含めたマイ・ポータルを活用する場合について、その広がりの可能性と官民連携のあり方を検討した。検討にあたっては、「社会保障・税番号大綱」に対するパブリックコメントの中から民間分野における活用に関する意見を分析したほか、最近の電子行政サービス・プラットフォームに関する調査報告や民間団体から発表されている提言等の分析、さらに、さまざまな業界の民間事業者へのヒアリング調査を実施した。その結果、以下の5つの活用モデルをとりまとめた。

表 官民連携の活用モデル(案)

 活用モデル 概 要活用イメージ

1.バックオフィス連携 

利用者本人から事前に同意を得た上で、民間事業者が必要に応じて市町村等から本人の情報を確認する。 ●終身年金保険における保険者の生存情報の確認(住民票等の取得)
●激甚災害時における保険金受取人や相続人等の確認(戸籍情報等の取得)     

2.公的個人認証サービスの民間拡大 

個人番号カード内の本人情報(氏名、住所、生年月日、性別)を用いて、利用者本人の操作によりオンラインで利用者の本人確認を行う。 ●オンラインでの銀行口座等開設時における(法令に基づく)本人確認
●年齢や性別の確認が必要な物品・サービス(酒類等)のオンライン購入時の資格確認     

3.マイ・ポータルからの自己情報の提供     

利用者本人の操作により、個人番号カード内に無い自己情報をオンラインで民間事業者へ提供する。      ●勤務先や健康保険組合において、被扶養者を認定するための世帯情報
●住宅ローン等の審査に必要な所得情報の提出     

4.民間事業者からの通知 

民間事業者から利用者(契約者等)のマイ・ポータルへ各種情報の通知を行う。 ●電気、ガス、水道等の検針情報、請求書情報等の通知
●生命保険等の契約内容や保険料支払証明書等の通知

5.Webサイト間連携 

民間事業者のWebサイトにおいて、マイ・ポータル関連サービスを提供する。 ●検索ポータルの個人用ページの一部でマイ・ポータルの情報を提供

ただし、これらの活用モデルの実現のためには、個人情報の漏洩や不正利用に対する心配・不安を取り除くことが前提条件となる。例えば、マイ・ポータルへの通知サービスを誰でもどのような内容でも利用可能にしてしまうと、迷惑メールの大量送信などに悪用されるおそれがある。そのため、以下のような課題を解決する必要がある。
  1. マイ・ポータルで提供する自己情報の種類、通知の到達の考え方など制度面の整備。
  2. 本人同意の取得・撤回方法や情報セキュリティ、デジタルデバイドなど技術面への対応。
  3. 活用モデルを実施する事業者をどのように決定するか、コストを誰が負担するかなど運用面の課題。

■今後に向けて

北欧を含む欧州各国、米国、韓国などでは、各国の状況に合わせた番号制度が導入され、その運用手段としてICTを活用したID基盤が装備されている。ID基盤が、誰もが快適で安心できる生活・社会の実現のために欠くことができない重要な社会インフラとなっている今、住基ネット問題で躓いたわが国にとってマイナンバーの導入は極めて重要な政策課題である。

三菱総合研究所としても、経済社会の活性化や日常生活のさまざまな場面において利便性を実感できる制度とすべく、民意をできるだけ広範に集約し、導入に向けた大きな力となるよう取り組んでいきたい。

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