クラウドを活用し、コスト削減と住民サービス向上を両立させよう

公共ソリューション本部 主席研究員 前田由美

手探りで立ち上げた「クラウドユーザー研究会」

2010年4月、三菱総研は、ユーザー視点で自治体におけるクラウドサービスを検証する「クラウドユーザー研究会」を立ち上げました(※1)。
当時は総務省の自治体クラウド開発実証事業も始まったばかり、「地方公共団体におけるASP・SaaS導入活用ガイドライン」もパブリックコメントの募集が始まったばかり。民間企業や郵便局会社、あるいは定額給付金事業に甲府市がクラウドを活用したなどのニュースが聞こえてくるものの、ほとんどの自治体にとってクラウドはなじみの薄いものだったと思います。そのような状況の中で、まずはクラウドサービスというものを使っていただき、実感に基づいて評価していただくことが重要と考えたのです。
私たち自身も、クラウドについて研究しながらのスタートで、自治体のみなさんや事業者のみなさんと一緒に研究しようという手探りの状態でした。こうした中で、「在宅介護支援サービス」「観光統計サービス」「図書館サービス」の3つのサービスを提供するとともに、「公営住宅システム」のクラウド化について机上検討をしてきました。その成果の一つとして、2010年12月には「観光統計ぷらっとふぉーむ」サービスを本格運用することができました(※2)。

クラウドユーザー研究会第IIフェーズスタート

クラウドユーザー研究会活動の一環として2010年7月に実施した自治体アンケートでも「クラウドという言葉を知らない」との回答は48%と、その言葉自体、まだまだ知られていなかったクラウドサービスですが、その後、自治体会員のみなさんには変化が生まれてきました。研究会発足当初、「なんとなくよさそう」「トップからクラウドについて調べろといわれている」といった漠然とした動機で入会された方々の中から、「システムリプレース時に、クラウドを導入したい」「来年度、クラウド導入計画を策定する予定」など、具体的な検討を開始したいという声が寄せられるようになったのです。

そこで2011年1月、クラウドユーザー研究会は第IIフェーズを立ち上げ、具体的なクラウド導入について、会員のみなさんと一緒に考えることとしました。厳しい財政状況が続いている自治体には、コスト削減と住民サービス向上という2つの相反する使命が課されています。どちらか一方を選択するのであれば解決は比較的容易でしょう。しかしどちらも切り捨てるわけにはいかないのです。三菱総研では、自治体がクラウドを活用する際の視点として次の2つが重要と考えています。一つは「従来の業務手順や情報システムのムダを省き、コスト削減を図ること」。もう一つは「削減したコストを住民サービス向上のために適切かつ有効に投資すること」です。この2つを達成するために、クラウドサービスは従来の自治体の情報システムにはない良さを備えていると考えます。

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