プラチナ社会研究会

プラチナ社会研究会事務局
科学技術部門 統括室 参与 村上清明

21世紀の課題解決策「プラチナ構想」の提案

バブル崩壊後すでに20年が経過したが、日本の未来に明るい展望は見えてこない。製造業の海外流出、急速に進行する世界一の高齢化率(23%)、GDPの200%に迫る財政赤字という現実を見ると、悲観が蔓延するのも無理からぬことだ。特に、地方経済の疲弊は深刻である。戦後、国策により情報発信機能と管理中枢機能の多くは東京に集中され、地方の経済基盤とされたのは、農業、工場、公共事業であった。しかし今、そのどれもが縮小、撤退、存続の危機に直面している。雇用が縮小すれば若年層はますます流出し、高齢化が加速する。介護と医療コストが重く圧し掛かり、遠からず地方財政は立ち行かなくなる。

こうした問題をどう解決するのか。公共事業に頼ることはもはや期待できない。モノあまりでデフレが続く国内では、生産性の向上による低価格戦略は、雇用の縮小とデフレ助長になりかねない。20世紀型の解決策では解決できないのだ。

三菱総合研究所は、21世紀の課題を同時に解決するプラチナ構想を提案している。21世紀の課題とは3つあり、工業化によって豊かになった社会が必然的に抱える問題である。ひとつは、資源の大量消費による環境問題であり、次に、高齢化である。この2つの問題解決を産業化し、3つめの問題であるデフレと雇用問題を解決しようというのがプラチナ構想である。そして、この21世紀の課題を解決した社会を「プラチナ社会」と呼ぶことを提案している。プラチナという言葉には、輝きを失わない高齢社会、品格のある社会という意味が込められている。

プラチナ社会の実現には、発想の転換が必要である。第一が人間起点である。コスト競争や技術力が重要なのは否定しないが、その前に、何のためのコストダウンか、技術かを問い直すことが必要だ。雇用不安を招くような技術では意味が無い。「人間が快適に暮らせる社会」を造るためのコストダウンであり、技術開発でなければならない。第二が地域主導である。大量生産型の工業社会モデルであれば、国主導で港湾、高速道路、工業団地を整備するやり方が効率的であったが、快適な暮らしの実現は、全国一律というわけにはいかない。住民に最も近い地域がそれぞれの事情にあった解決策を考えなければならない。第三が産業化である。いくら良い解決策であっても、国依存では持続可能とはならない。産業化が必要だ。それには、社会にとって本当に必要なものが民事業として成立するように制度設計することが必要だ。

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