福島の環境回復と復興の鍵を握る中間貯蔵施設の役割~最終処分量低減に向けた減容化施設のあり方~

原子力安全事業本部  島悠貴 他3名

  • Point
  • ●福島県内の除染土壌や放射性物質を含む廃棄物等の最終処分量を低減するために、廃棄物等の減容化および放射性物質の分離を行う減容化施設が重要となる。
  • ●計画的に減容化施設を作って処理を進めていかなければならないが、処理対象とすべき土壌・廃棄物等の性状・量などの全貌を現時点で明確化することは困難である。
  • ●不確定性に柔軟に対応するために、減容化施設の計画には、廃棄物の性状に応じて複数のタイプの炉を組み合わせて構成する「並列性」と、中長期の稼働中において徐々に機能を拡張する「拡張性」の考え方を織り込んでおくことが望ましい。

1.中間貯蔵施設は福島の環境回復・復興のために不可欠である

東日本大震災から6年が経過した。その間、福島県では除染や被災家屋の撤去など環境を回復するための様々な取り組みが進められてきた。しかし、除染で取り除いた土壌や放射性物質に汚染された廃棄物等の多くはいまだ各地で仮置きされたままであり、これが復興の足かせとなっている。その上、復興に向けた企業の事業再開によって、解体物や不用物など、今後も新たな廃棄物等が発生する見込みである。これらの除染土壌や放射能濃度の高い廃棄物等は、大熊町・双葉町に整備される中間貯蔵施設で適宜処理・長期間保管された後、最終的には福島県外で処分される予定となっている(※1)。福島県内各地に仮置きされている除染土壌・廃棄物等を収集・保管する中間貯蔵施設は、福島の環境回復と復興に不可欠な施設である。

図1 中間貯蔵施設の予定地

図1 中間貯蔵施設の予定地

出所:三菱総合研究所

2.最終処分量低減のために減容化施設は重要な役割を果たす

中間貯蔵施設では、土壌・廃棄物等の受入・分別、減容化、最終処分までの貯蔵が行われる。このうち、減容化は主に焼却炉・焼成炉・溶融炉などで対象物を熱処理して全体の容積を減らす工程であり、約1,600万m3~2,200万m3(東京ドームの約13~18倍)(※2)にのぼるとされる除染土壌等やその他の廃棄物等の最終処分量の低減や、中間貯蔵施設での貯蔵等に必要な敷地の有効利用などの観点から、非常に重要である。

なお、減容化による熱処理等の過程で廃棄物等に付着した放射性セシウムをある程度分離することが可能であるため、減容化により放射能濃度が低くなった生成物等を安全・安心の確保を前提に資源として活用すること(減容・再生利用)ができれば、最終処分量はさらに低減する(※3)

図2 中間貯蔵施設に整備する個別施設と処理フローのイメージ

図2 中間貯蔵施設に整備する個別施設と処理フローのイメージ

出所:環境省 中間貯蔵施設情報サイト「中間貯蔵施設の概要」(2017/7/25閲覧)
http://josen.env.go.jp/chukanchozou/about/

3.減容化施設の処理対象である廃棄物等の性状は多種多様である

減容化を行う施設(減容化施設)には、可燃物を大量に処理可能なもの、不燃物のみでも処理可能なもの、多様な性状の対象物を混合処理可能なものなど様々なタイプがある。それぞれに特徴があるため、本来、対象物の性状や量などに応じた使い分けが必要である。

ここで問題となるのは、除染土壌・廃棄物等の性状が多種多様であることである。例えば、除染土壌・廃棄物等のうち可燃性廃棄物(主に草木が中心)に絞ってみても、土壌・水分・有機物の混入割合は極めて多様で性状も多彩である。このため、現在双葉町に整備されることが発表されている可燃性廃棄物の焼却と焼却残さの熱処理を行う減容化施設には、処理量の変動や多様な性状に柔軟に対応できるような設計が要求されており、関係者が知恵を絞っているところである。

その上、帰還困難区域等での企業の事業再開に伴い、今後発生する解体物や不用物などの不燃物には、放射性物質が錆に付着した金属製の保管容器、放射性物質が浸透した焼却炉耐火物、放射性物質が付着した不燃性のフィルター(焼却炉や自家用車など使用目的は様々)などが含まれる。

図3 中間貯蔵施設の対象となりうる廃棄物等

図3 中間貯蔵施設の対象となりうる廃棄物等

出所:三菱総合研究所

4.減容化施設の処理対象量には、現時点で推計が困難なものもある

また、前述の除染土壌等約1,600万m3~2,200万m3という数値には、追加的な除染などによる廃棄物等や、企業が事業活動再開のために行う店舗清掃等による廃棄物等のうち放射能濃度が高いもの、あるいは中間貯蔵施設の整備で発生する廃棄物・撤去物など、推計することが困難だったものは計上されていない。

5.処理対象の不確定性を踏まえ、減容化施設は様々な廃棄物の性状への対応を念頭に置いた組み合わせで構成することが望ましい

上述のとおり、中間貯蔵施設における減容化施設の処理対象は非常に不確定要素を含んでいるといえる。

さらに、再生利用に当たって現時点では生成物の利用先が定まっていない。再生利用の用途に応じた資材としての要求品質や、遵守すべき放射能濃度等の基準も検討中である。

このように中間貯蔵施設の入口と出口が不確定な状況下で減容化施設を特定のタイプに決めることは、将来的に処理可能な廃棄物等の種類や量を制限することになりうる。また、処理コスト、処理に要する時間、減容生成物の品質・放射能濃度なども制約を受け、結果的に全体最適性を損なう恐れがある。

そこで、中間貯蔵施設における減容化施設に「並列性」と「拡張性」を持たせることを提案する。「並列性」とは、廃棄物の様々な性状に対応していけるよう減容化施設を複数のタイプの組み合わせで構成する考え方である。「拡張性」とは、実証試験的な運用もしながら適宜機能を改善・改修していく考え方である。減容化施設を特定のタイプに決め打ちするのは得策ではなく、これらの考え方を計画に織り込んだ、柔軟な処理スキームとしておくことが望ましい。

※1 現在、中間貯蔵施設では廃棄物等を仕分ける分別施設などが整備されており、秋頃に貯蔵が開始される予定。

※2 環境省 中間貯蔵施設情報サイト「中間貯蔵施設の概要」(2017/7/25閲覧)より引用。
http://josen.env.go.jp/chukanchozou/about/

※3 現在、減容・再生利用に向けた技術開発や実証事業が開始されている。

執筆者
原子力安全事業本部  島悠貴、鈴木浩、篠崎剛史
エム・アール・アイ リサーチ・アソシエイツ  垣本悠太


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