67%─若者の関心は「食」に集中:ゼロベースの新製品開発が若者の心をつかむ



政策・経済研究センター  阿部 淳一

図 20代が関心を示す新製品

 アベノミクス効果で労働需給が逼迫する中、賃金上昇や正社員化の恩恵を最も受けるのが20代。「去年と比べ暮らし向きが向上している」とする割合も、2015年は20代が13%と全体(8%)を5ポイント上回る*1

高まる「食」への関心

 賃金の上昇が消費に回ることが期待される20代だが、「若者のモノ離れ」に歯止めがかかりそうにない。

 20代で「新製品に関心がある」とする割合は、5年間で23%から18%へと5ポイント減った*2。注目すべきは、関心をもつ新製品の範囲が急速に狭くなった点だ。家電・パソコンの新製品に関心がある割合は69%から54%、携帯電話も53%から38%とそれぞれ15ポイント減った。こうした中、唯一62%から67%へと関心を高めたのが「食」であり、最大の関心事となった。

新しいタイプのモノづくりへの挑戦

 なぜ、若者の新製品への関心は急激に低下したのか。背景には革新的なヒット商品の不在が挙げられそうだ。「日経トレンディ」の11年ヒット商品ランキングでは1位のスマートフォンをはじめ、上位5品目中4品目に家電関連が並ぶが、その後ヒットが続いていない。家電大手の業績が低迷し開発予算が絞られる中、既存商品の改良に意識が強まったからではないか。

 一方の食は、10年の1位に食べるラー油、13年の1位にコンビニコーヒーと着実にヒットが続く。食べるラー油は商品そのもので、コンビニコーヒーはその売り方でいずれも食生活に新風を巻き起こした。

 既存商品の改良を繰り返すプロダクト起点の商品開発では、モノ余りの時代に育った若者の心をつかむことが難しくなった。生活者に起点を移しゼロベースで新たな価値を実現する商品開発への転換が求められている。

 家電業界でも2万円台のトースターで今までにない食感体験を売るバルミューダ、透明なキーボードなどユニーク家電で勝負をかけるUPQ(アップ・キュー)などの家電ベンチャーが台頭している。若者のモノ離れを嘆くのではなく、新しいタイプのモノづくりへの挑戦を始めよう。

*1:文中の数値は全て「生活者市場予測システム(mif)」(2011-2015年)の数値である。

*2:「新製品には関心があり、新製品が出ると真っ先に購入したくなる」に「あてはまる」「や やあてはまる」と回答した者。


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