[高齢社会]プラチナ・ラーニング・ソサエティー「新たな学び直し」で「人生二毛作」を実現

Point
充実した第二の人生を送るための「新たな学び直し」が重要性を増す。
「試行錯誤」「自分磨き」「チーム形成」の3要素が新たな学び直しの鍵。
兼業を組み合わせたシニア・インターンシップが効果的。

プラチナ社会研究センター 森 卓也

 2016年3月に「長寿社会における生涯学習政策フォーラム(立教大学・文部科学省共催)」が開催され、日本と韓国それぞれの「生涯学習と高齢者の社会参画」に関する取り組みが紹介された。実質定年時期や年金制度に違いはあるが、いずれも「高齢化先進国」であり、第二の人生(セカンドキャリア)に向けた「学び直し」が不可欠であるという共通点をもつ。実際、わが国では、退職前後のシニアを対象とした大学や民間研修機関の学び直しプログラムが活況を呈している。

 もっとも、これからのセカンドキャリア準備には、知識・技能習得を中心とする「従来の学び直し」プログラムでは不十分である。精神的な豊かさや生活の質を重視するシニアにとって、再就職・収入維持や知識欲充足が学び直しの目的ではないからだ。8万時間ともいわれる退職後の「自由時間」をいかに生きて死を迎えるかという命題に真摯に向き合い、社会との新たな関わり方を見つける「人生二毛作」に向けた新たな学び直しプログラムが求められている。

 さまざまな体験を通じて、自分が本当にやりたいこと(WILL)・できること(CAN)・すべきこと(MUST)を見つける「試行錯誤」の場。人生で積み上げてきた知識・経験・人脈を棚卸し、社会で役立つ武器として先鋭化する「自分磨き」の場。そして自分と同じ思いをもつ仲間と出会い、裃を脱いで協働するための「チーム形成」の場。この三つが新たな学び直しの必須要素だ。

 学び直しは兼業と組み合わせることでより効果的になる。キャリア意識の高いミドル層を中心に、「2枚目の名刺*1」や「プロボノ(Pro bono)*2」といった本業・本職以外での新たな活動を促進する「緩やかな兼業」が広まりつつある。これからは、大学などの教育訓練機関と企業が連携し、シニアを対象にした兼業型の学び直しプログラム、いわば「シニア・インターンシップ」を普及させることが重要である。

 新たな学び直しで人生二毛作を実現する社会を「プラチナ・ラーニング・ソサエティー」と名付け、その具体化に向けて積極的に関わっていきたい。

写真:長寿社会における生涯学習政策フォーラムの様子

左から、崔相秦50+KOREAN研究所長、加藤睦 立教大学副総長、坪野谷雅之 立教セカンドステージ大学講師、筆者。
高齢期就労への危機感や人気のある学習科目について日韓の違いが明らかになった。

*1:主に企業に勤めるビジネスパーソンなどが、本業・本職以外での活動の中で持つ名刺。

*2:各分野の専門家が、職業上もっている知識・スキルや経験を活かして社会貢献するボランティア活動。


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