[海外戦略]ICTシステム輸出の鍵は制度運用と現地ニーズへの対応

Point
アジアでは情報システム分野での輸出競争が繰り広げられている。
さまざまな事情に配慮しシステムを組み上げ運用する技術は誇るべき領域。
きめ細かく丁寧な対応で相手国の信頼を勝ち取ることがICTシステム輸出成功の鍵。

社会ICT事業本部 木下 玄

 アジアの成長率は今後も他地域を上回る。これらの地域ではインフラ整備が急務となっており、先進国による自国インフラの輸出競争がさまざまな産業で繰り広げられている。投資拡大が見込まれるICT分野(情報システム)も状況は同様である。

 アジアの多くの国では情報システムの前提となる各種制度が未整備のため、国の骨幹となる行政情報システムが機能を十分に発揮できず、各国が抱える課題の解決が図られないことがある。ここに日本のノウハウが生きる可能性がある。

 情報システムの導入において、ユーザーの事情・環境に配慮しつつシステムを組み上げるノウハウは、日本が誇るべき技術領域である。ガラパゴス的な独自性や高コスト体質を生み出さないよう十分な配慮が必要であるが、相手国の多様なニーズに応える技術力と、必要に応じて関連制度の設計・運用にまで踏み込んで提案する丁寧な対応は日本の強みといえる。

 日本の通関制度および情報システムをベトナムに輸出したケースでは、現地の事情に合わせて必要な機能を適用・カスタマイズしていくことで、手続きに係る所要時間を輸入で約2割、輸出で約6割削減した。これは、欧米や韓国などの導入期間の短縮やコスト抑制を目標とし業務標準化を前提とした情報システムでは、実現できないことである。近年、わが国はミャンマーで中央銀行システムや港湾EDIシステムなどの行政情報システムの導入実績を積み重ねつつあるが、これらのケースは単なるシステム構築にとどまることなく、制度設計はもとより、導入プロセスを通じた技術移転、人材育成への貢献が現地から感謝されている。日本としては、これまでの国内外での経験を活かして、導入から運用まで一貫したプロセスで、最適なシステムを組み上げる総合力を発揮することが肝要である。

 これからも上下水道や防災分野など、ICTで日本が貢献できる領域は拡大する。制度運用面や現地ニーズの組み上げなど、きめ細かい丁寧な対応で相手国の信頼を勝ち取ることがICTシステム輸出成功の鍵となるだろう。

図 日本が目指すべきICTシステム輸出


関連するサービス