[ICT]「シェアリング・エコノミー」の推進―インパクト・マップが新サービス創出を加速

Point
政府は「シェアリング・エコノミー」を成長戦略の一環として認識。
一方で、さまざまなステークホルダーの対立がサービス推進の阻害要因に。
社会的・経済的なメリット・デメリットを見極め、推進政策を検討。

社会公共マネジメント研究本部 土谷 和之

 「シェアリング・エコノミー」が台頭している。2015年6月には安倍首相が成長戦略に関連して「シェアリング・エコノミーを実現し、阻害する制度・行政の抜本的な見直しが必要だ」と発言。同年12月には関連事業者が参画するシェアリング・エコノミー協会が発足し、政策提言などを活発に行っている。AirbnbやUberなどの海外発のサービスも、徐々にではあるが日本に浸透してきた。

 一方、こうしたシェアリング・サービスの出現は、類似サービスを提供してきた事業者の抵抗を招き、その実現や普及に時間やコストが掛かる面もある。例えばUberについては、サンフランシスコでの大手タクシー事業者の破産申請、欧州でのタクシー業者の反対デモなど、「シェア」vs「既存」のさまざまなコンフリクト(衝突)を起こしている。しかし、こうした状況はステークホルダーの意識が変わりさえすれば、イノベーションを生み出すチャンスになる。シェアリング・サービスの多くは、既存サービスにICTによる「レバレッジ」を加えることで、その付加価値を高めたものだ。既存サービス事業者も「新たなビジネスチャンスが創出された」と受け止め、新規サービスよりさらに高い付加価値のサービス展開を探ることも可能だ。

 そこで、シェアリング・サービスの成長に向けてステークホルダーの意識改革を促すために、「インパクト・マップ」(サービスの社会・経済的影響を可視化した表)を活用してその推進策を検討してみてはどうだろうか。下のインパクト・マップでは「民泊」を例に、サービスに関わるステークホルダーを列挙し、それぞれが受ける社会・経済的なメリット・デメリットを把握し、その推進方策の検討結果を整理している。この結果を共有することで、イノベーションが社会・経済的にどのような利益をもたらすかについて共通認識をもつことができる。

 今後拡大が期待されるシェアリング・サービスについては、こうしたツールを活用することを提案したい。社会・経済的な影響を見極め、その影響を効果的に生み出す推進方策のポイントを見える化することで、新サービスの創出が加速されるだろう。

図「民泊」の影響・推進方策の検討例(インパクト・マップ)


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