[通信]「LPWA」がIoT普及の起爆剤に

Point
IoTの普及を阻んでいるのは、通信サービスのコスト高。
新たな通信サービス「LPWA」が料金破壊をもたらす。
ベンチャー企業が課題解決型サービスの開発主体となるべき。

経営コンサルティング事業本部 大山 元

 IoT( Internet of Things)はさまざまな分野で業務効率化や新ビジネス創出を実現し始めている。ネットにつながることで産業機械や建機の稼働状況をリモートで監視して故障予防を図るなど、これまでのIoT活用は、設備の増強が収益の拡大を促す分野、例えば製造業で先行している。

 一方、農業支援や高齢者見守りといった社会課題を解決する分野では遅れている。IoT社会では、広範囲に散在する多数のセンサーを無線通信で利用することが多く、普及に向けた経済性を確保する上で、センサーの低価格化と省電力化、通信サービスの低コスト化が必要となっている。

 この対応として、「LPWA(Low Power Wide Area)」と呼ばれるIoT向けの通信サービスが国内で開始される。センサー1個当たり年間数千円を要する従来通信サービスに比べて、コストを10分の1から数十分の1に圧縮できる。低速通信だが小型電池を搭載し最大10年は作動可能となり、伝送距離も数kmから50kmと広範囲に及ぶため、安価に広域ネットワークを構築できる。

 LPWAによって、経済性向上に加えて、電源確保や電波受信が困難な場合でもIoT導入が可能となり、IoT普及が大幅に前進すると想定される。例えば、商業施設、オフィス、公共スペース、山間部といった場所、人、ペット、貨物など移動するもの、線路、ケーブル、ゴミ箱のようなインフラ・設置物など、あらゆるものを対象としたモニタリングが可能となり、IoT活用が活発になるだろう。

 注目したいのは、社会課題解決を目指すベンチャー企業である。ベンチャー企業が実証実験(表)をはじめとするトライ&エラーに本格的に取り組むと、IoTサービス市場の動きが加速すると見られる。農業・介護などの現場を熟知するベンチャー企業こそが、経済性、利便性、品質に富んだサービス開発で主役となることを期待したい。

図 LPWA実証実験の例

LPWAを活用した
IoT実証実験内容
実験地域実験実施主体
【農業】
圃場(ほじょう)環境モニタリング
長崎県 南島原 NTTドコモ、ハタプロ(IoTプロダクトの事業化支援)、セラク(農業用IoTクラウドなどの開発・提供)、長崎県南島原市
【高齢者】
認知症高齢者の見守り捜索支援
東京都 世田谷 LiveRidge(介護業界向けシステム開発)、ヘッドウォータース(アプリ開発)、39Meister(IoTプロダクトの事業化支援)
【レジャー】
ゴルフカートの位置情報管理
奈良県 天理 NTT西日本、ジーアイサプライ(GPSトラッキング技術などの 提供)など
【防災】
除雪車の位置情報管理
岐阜県 下呂 KDDI、ジーアイサプライ、大日コンサルタントなど
【インフラ】
山間部での遠隔水道検針
神奈川県 箱根 センサスジャパン、ミライト・テクノロジーズ、KDDIなど

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