[物流]宅配ラストワンマイル問題を多様なサービスで解決する

Point
宅配便の再配達が急増、業界はラストワンマイル対策に追われている。
ドローンなどによる「無人化」の検討が進むが、全てはカバーしきれない。
受取人の配達参加や人とロボットの協業で課題解決の道を探るべき。

広報部 檜垣 亨

 宅配便におけるラストワンマイルとは、配送センターから顧客受け渡しまでの道のりを指す。ネット通販が拡大し宅配便の取扱量が急増する一方、受取人の不在により、全体の約2割が再配達となる。これは物流業界の人手不足の一因でもある。

 対応策として、例えばパックシティ ジャパン*1は、駅に共同宅配ロッカーを設置し、宅配業者を限定せずに荷物を一時預かりする「PUDOステーション」を展開している。ユーザーはスマホで荷物到着を確認、最寄りの宅配ロッカーから都合のよい時間に荷物を持ち帰る。株式会社ウケトルが開発した「ウケトル」は、事前に受取人の不在を確認して在宅時に配達できるアプリを提供している。ネット通販で注文した商品の発送や到着をユーザーに通知し、受け取りを容易にするとともに物流側の再配達のリスクを減らす。

 では将来的にはどうなるか。ラストワンマイルにおける課題を解決しようと、物流業界はドローンやロボットカーによる「無人化」を検討している。政府の人工知能技術戦略会議も、2030年をめどに自律型輸送・配送サービスの提供を実現するための目標とロードマップを明らかにしたところである。

 ただし、完全無人化が常に最適な解決策とはいいがたい。一口にラストワンマイルといっても、利用者のニーズは多様だ。受取人不在時の対応やセキュリティーの確保など、無人化のみでは解決できない課題を多く抱える。サービス提供側も顧客との接点が無人化されることで、顧客ニーズ把握の貴重な機会を失いかねない。完全無人化がラストワンマイル問題を解決する唯一のゴールではなく、配達への「受取人の参加」、人とロボットの「協業」で無人化を補完することが現実的だろう。

 運び手と受取人の間をロボットやアプリがうまくつなぐことは、非効率を解消するだけでなく、新たな付加価値を生み出すサービス開発にも結びつく。現在、こうした取り組みの中心は物流業者であるが、今後は、受取人や荷主など多様なサービス利用者から積極的にアイデアを集めるべきだろう。解決するべき課題が多いラストワンマイルは、同時にイノベーションの宝庫になりうる*2

図 ラストワンマイルの対策例

 ロボット活用イメージ事 例
無人化 ドローン活用 ドローン(小型無人飛行機)を使って配送先まで荷物を空輸。適用はまだ限定的。 そら楽(楽天)
Prime Air(アマゾン)など
自動運転 自動運転車や宅配ロボットによる地上輸送により配送先まで荷物を輸送。実験中。 ロボネコヤマト(ヤマト運輸+ディー・エヌ・エー)
Starship(英国)など
人+ロボット 宅配ロッカー 最寄の駅や自宅近くなどに宅配ロッカーを設置。ユーザーはスマホなどで配達を確認。指定のBOXから受け取る。不在時の再配達を回避。 PUDOステーション(パックシティ ジャパン)
はこぽす(日本郵便+楽天)
スマート宅配Box®(エスキュービズム・テクノロジー)など
スマホアプリ 発送や不在、荷物の配達状況、再配達依頼など、荷物に関するあらゆる情報をスマホでやりとり。勘違いや不注意による再配達を減らす。 ウケトル(ウケトル)
宅急便e-お知らせシリーズ(ヤマト運輸)
各種メール通知サービス(佐川急便)など

*1:ヤマト運輸と仏・ネオポストシッピング社の共同出資により設立。

*2:詳しくは、「フロネシス16号 事業創造の大転換」三菱総合研究所編著P.90~100 参照。


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