千吉良 岳
ヘルスケア事業本部 社会保障戦略グループ
Career Path
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工学部 化学生命工学科 卒業
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工学系研究科 化学生命工学専攻 修了(工学博士)
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三菱総研 入社/ヘルスケア&ウェルネス本部に配属
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ヘルスケア事業本部に組織改称
現在の仕事内容について教えて下さい。
医療・介護・福祉分野における社会課題に向き合う
ヘルスケア事業本部が手がけるプロジェクトの背景には、健康寿命の延伸、地域全体で高齢者の生活を支える医療・介護サービス提供体制の確保、持続可能な社会保障財政の実現といった社会課題があります。これらの解決にあたっては、近年EBPM(科学的根拠に基づいた政策立案)がより一層重視されるようになってきており、私は医療・介護・福祉分野における公的データベースの整備と政策への活用支援を行っています。
各分野でデータ登録・提供やシステム間連携、データベースの活用支援を行っていますが、特に意義深い仕事としては介護関係の公的なシステムの社会実装が挙げられます。かつて介護は医療と比べ専門性の低い分野と見られた時代もありますが、実際にはさまざまな専門職が関わる専門的かつ複雑性の高い領域であり、健康の維持や悪化防止のためには科学的根拠に基づく介護が不可欠です。
現在私は、その公的なシステムに収集された介護現場の情報を生かし、利用者の状態やケアの方法、そこで得られた結果など各要素における関係性の分析およびエビデンス構築を行うため、実際にデータベースを構築・運用する事業者や行政、民間の介護事業者とともに研究を進めています。
どのようなところに仕事のやりがいや難しさを感じますか。
各プロジェクトの役割を明確にする
仕事において大切なのは、社会課題の解決や社会目標の達成に向けて設けられた各プロジェクトの役割を明確化することだと考えています。この部分がやりがいであり、同時に難しさでもあると感じています。
健康寿命の延伸や社会保障財政などの問題は、単体のプロジェクトで一気に解決できるものではありません。データの収集をはじめデータベースの構築、データの利活用など、各プロジェクトが独立して進行します。それぞれの役割や目的を曖昧にしたまま進めると、活用に必要なデータを集められなかったり、活用が難しいデータばかりが集まったりと効率的ではありません。関連するすべてのプロジェクトを三菱総研が受注できるとは限らない中で、効率的かつ適切にお客様に提案を行うことで、一体的にプロジェクトを進行できたときに大きなやりがいを感じます。
三菱総合研究所に入社を決めた理由は何ですか。
社会全体を見渡し、課題の解決に関与できる
ライフサイエンスに興味があり、大学院では創薬に関わる分野で博士号を取得しました。研究活動を経て、創薬に関するサイエンスやテクノロジーよりも、研究を行う環境や政策の方に課題意識がシフトしていくのを感じ、広く健康に関する社会課題を解決することが自分自身のやりたいことであると考えるようになりました。政策という観点で「官」、実際に課題を解決する主体としての「民」、どちらの道に進もうか迷いはありましたが、橋渡し役とよく言われるように、社会全体を見渡して社会課題の解決に携わることができる三菱総研の仕事に魅力を感じました。
就職活動では「どんな内容の仕事をするのか」ということだけでなく、「どんな人たちと仕事をするのか」ということも自身のモチベーションに大きな影響を与えると考えていました。インターンシップやOB訪問で、働いている先輩社員の方々やお客様の様子を窺えたことも決め手になりました。
三菱総合研究所の企業価値を、どのような点で感じますか。
社会を洞察し、提案を重ねる
お客様の課題と向き合うとともに、その奥にある社会課題を常に見据えて解決策を考えている点です。お客様からご相談いただく案件を注意深く観察すると、お客様自身も明確には把握できていない、より大きな課題が背景に透けて見えることがあります。このようなときに「お客様の本当の課題はこれではないでしょうか」と提案できることが三菱総研の企業価値だと思います。こうした視点の重要性はコンサルティング会社全般に言えますが、社会課題にまで結び付けた提案が基本動作として身に付いていることは、常に社会課題の解決方法を模索し、さまざまな形で研究や実証を試みている三菱総研ならではの強みであると考えています。
今後どのような仕事に挑戦したいですか。
「予防できる社会」の実現を目指す
医療・介護・福祉分野における公的データベースの整備と活用はまだ成長段階です。まずは安定した成熟期に移行できるよう引き続き支援を行いたいと思っています。そして将来的には、こうしたデータベースの活用を前提とした、医療や介護の予防分野における本格的な事業化に挑戦したいと考えています。
「予防」という分野は、治療よりもはるかに高額であることや効果測定が困難であることなど、課題が山積みであり、本格的な事業化が行えていないのが現状です。健康な状態におけるデータの不在、そしてデータを収集する際のインセンティブ設計や個人情報保護の問題など、現在進めているデータベース以外にも取り組むべきことはたくさんありますが、「予防できる社会」の実現が与える社会的インパクトは計り知れないものがあり、大きなやりがいにつながると感じています。
仕事での主な1日の流れを、具体的に教えて下さい。
- 現在はお客様との対面の打ち合わせがない限り、基本的にリモートワークを行っています。朝9時に始業すると、まずは社内のスタッフや委託先なども含めたプロジェクトメンバーへ業務の依頼メールを送ります。業務時間を効率的に活用してもらうため、メールの内容は前日に予め準備しておきます。文章だけではうまく伝わらないこともあるので、必要に応じてテレカンファレンスで具体的な説明を行います。
- 午前中に打ち合わせがない場合は、早めに昼食を食べます。在宅時は自炊することが多いです。
- 午後は打ち合わせとそれに向けた準備に時間を費やします。テレカンファレンスが続く場合は移動の時間がないため、前の打ち合わせの終了と同時に次の打ち合わせが始まることもよくあります。また政策に関わる現場(介護事業所など)にヒアリングを行うこともあります。ヒアリング先の都合に応じて直接訪問するときもあれば、電話でヒアリングするときもあります。現場の意見が政策のヒントになることも多いため、重要な情報収集の場となります。
- 18時を過ぎると打ち合わせも落ち着いてきます。その日の打ち合わせ内容をまとめ、作業の見直しや進捗確認を行います。翌日に行うプロジェクトメンバーへの依頼事項も準備しておきます。
- 終業後は子どもと遊んだり、掃除や炊事をしたりとのんびり過ごします。
Off Scene
趣味/オフの過ごし方を教えて下さい。
休日は子どもを連れて公園やレジャー施設に出かけることが多いです。涼しいときはサイクリングをしたり、山へ登ったりすることもあります。在宅ワークが中心となってからは花を育てはじめました。