パターン①の同一人格型は、メタバースでも現実世界との一貫性を重視し、同一の人格かつ実名で活動するものだ。原則、実名登録が求められるFacebookを踏襲してか、Metaは今のところ、この同一人格型を前提としたサービスを展開している。
現在のテレビ会議を想像していただけるとわかりやすいが、ビジネス利用では現実の「名刺」との一致が前提となるため、現実世界に拠点を置く仕事ではこのパターンが主流になるだろう。ただし、活動拠点がメタバース内の場合は必ずしも当てはまらない。
また、アバターも現実の外見からかけ離れたものは選択しにくい。MetaのザッカーバーグCEOも、メタバース関連の発表をする際には、現実世界の自身の外見に類似したアバターを利用している。写真からアバターを生成するフォトリアルアバターという技術も存在しており、今後より高精度に再現することも可能になるだろう。
パターン②は、①とは対極的に完全に別の人格で活動するものだ。メタバース内のアバターでは、年齢や性別など現実世界の属性にとらわれず行動できる。人間の姿形である必要性もないため、動物やロボットなどのアバターも選択可能だ。すでに、VRChatなどのソーシャルVRでは、人間型ではないアバターで活動している利用者も存在する。
パターン③は、①と②の組み合わせも含め、2つ以上の人格を使い分ける多重人格型である。筆者は、定着期においては、多くの人が自然にこのパターンを選択することになると考えている。現在も、20代と30代の3割程度は、SNSで複数アカウントを使い分けている。こうした傾向を図1に示す。当社の
生活者市場予測システム(mif) が2022年6月に実施した調査結果に基づいており、調査対象は過去1カ月でSNS利用経験がある2万6,376人である。