国際情勢が不安定さを増し、またグローバルサウスの台頭などによって世界の勢力図が大きく変化する中で、国連安保理の構成国や決議の硬直性が改めて問われている。外交・安全保障問題の現状と先行きを解説するシリーズ14は、国連の正統性を高め集団安全保障体制を強化する「安保理理事国の拡大」について、従来の議論の経緯と今後の展望を「代表性」というキーワードを切り口に考察する。
※1:外交・安全保障 第13回:集団安全保障体制・国連の役割と期待 ウクライナ侵攻以降の国連改革論——拒否権の制限(外交・安全保障 2023.9.15)
※2:安保理の構成は国連憲章に定められており、国連憲章の変更には「総会または全体会議を構成する国の3分の2の多数による採択」と「安全保障理事会の5常任理事国を含む国連加盟国の3分の2による批准」により全ての加盟国に対し効力を生じる(国連憲章108条、109条)。
※3:Uniting for Consensusの略称。韓国、イタリア、カナダ、スペイン、メキシコ、トルコ、アルゼンチン、パキスタン、マルタ、コスタリカ、コロンビア、サンマリノからなるコンセンサスグループであり、G4に対抗する立場。
※4:アフリカ連合。
※5:アフリカ、ラテンアメリカ、カリブ、アジア太平洋の小国42カ国から構成されインドが率いるグループ。大国は他にブラジル、南アフリカ、ナイジェリアが参加。改革案は2012年にまとめたものを参照。
※6:棄権から賛成に転向した国はアルバニア、オーストラリア、カナダ、キプロス、デンマーク、エストニア、エチオピア、フィンランド、ギリシャ、アイスランド、インド、日本、ラトビア、モナコ、北マケドニア、フィリピン、ポーランド、韓国、モルドバ、サンマリノ、セルビア、スウェーデン、チュニジア、ツバル、バヌアツ、ザンビアの26カ国。
※7:アフリカ側は安保理改革について、各国個別協議はしておらずAUを通じた議論しか受け付けていない。
※8:国連総会A/77/PV.36(2022年11月17日実施)より。