国際経営開発研究所(IMD)が公表する世界競争力ランキング(2023年)において、日本は35位と過去最低を更新しました。競争力の回復のためには企業が生産性を高めるだけでなく、新たなビジネスやサービスで付加価値を創出する必要があります。この成否を分けるのがデータ利活用の巧拙です。デジタル社会の資源であるデータから価値を引き出すためには、多種多様な主体が保有するデータを持ち寄り組み合わせることが重要です。大事なデータが乱用されたり、悪意あるデータに騙されたりする不安があれば、データの共有は進みません。信頼あるデータ流通の実現が不可欠です。
価値創出を牽引するのは、自動運転・メタバース・生成AIなどの分野です。高度なデータ利活用社会では、これらのユースケースによりデータ量が爆発します(情報爆発)。当社予測では国内のトラフィックは2040年には2020年の348倍に達する可能性があり、発生構造も変化します。自動運転や監視カメラなどの映像など、地域内で処理可能な地産地消型のデータが約7割に達し、データ流通の地域分散化が進行します。
新ビジネスの創出と、それがもたらすデータ流通構造の変化を支えるには、新たな情報通信基盤の整備が必要です。具体的には、信頼してデータを預けられるデータ連携プラットフォームと、情報爆発に耐えうる潤沢で安価なネットワークインフラの整備が求められます。