ニュースリリース

未来社会提言「地方創生」

自律的・持続的な変革の連鎖により60兆円の付加価値創出
2015.7.16

三菱総合研究所

POINT

このたび株式会社三菱総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大森京太)は、地方創生に関する提言をまとめた「未来社会提言研究レポート」を発表しました。産業・ひと・まちづくりと地域・行政構造変革の4分野について、国内外の先進事例を踏まえて具体的な取り組みの方向性を提示します。

要 旨

【地方圏で60兆円の付加価値創出 ~2030年に目指すべき地域経済の姿~】

これまでの大都市圏依存型成長モデルの弊害が顕在化する中、わが国の持続的成長の成否は、それぞれの地域が独自の発展を目指す、新時代の成長モデルにいかに早く切り替えられるかにかかっています。
当社は、多様な地域資源を活用した新産業の育成やまちのリニューアル、今後の高齢化社会への積極的な対応などで、2030年までに地方圏で60兆円の新たな付加価値の創出が可能と試算しました。大都市圏の過度な成長に依存せずともわが国全体が持続的成長を続けることで、大都市圏と地方圏で生活の実質的な格差が少ない未来を描きました。

【自律的・持続的な変革の連鎖 ~成功への四つの取り組み方針~】

そのためには地域の未来に想いをもった人々が、自らの意思で、地域固有の資源の上に、多様な考え方を積極的に取り入れ、地域を変革することが必要です。自律的・持続的な変革の連鎖を起こすためには以下の取り組み方針がポイントとなります。
  • 地域資源の最大活用:従来の方法にとらわれない利用で新たな価値創造
  • 多様な人々による共創:「よそ者」や「若者」をオープンに受け入れた地域社会の共創
  • ホリスティック(包括的)な問題解決:まち・ひと・しごと創生の有機的連携
  • 選択と集中:やめるべきはやめ、リソースを集中 

【産業・ひと・まちづくりとそれを支える地域・行政構造の変革】

  • 風土共創で自律的な産業変革を ~風土共創業の提案~
地域の自律的な産業変革として「風土共創業」を提案します。これは、地域資源や郷土愛を大切にする一方で、さまざまな分野の人たちが協働しながら、地域の個性に基づいたユニークな価値を共に創り出す、という考え方です。
農業、ものづくり、観光などの地域産業は、おのおのの商品やサービスの直接的価値だけでなく、風土という無形の価値を提供することにより、付加価値を高めることができます。
  • 起業教育と人材交流で持続する地域イノベーションを 地域内の既存人材だけでは飛躍的な地域イノベーションは困難です。地域外からの人材を積極的に受け入れつつ、地域資源を活かした大学生などの起業教育を促進することにより、地域産業の新陳代謝を高めると同時に、地元小中高生を対象に起業マインドを醸成する教育を導入し、次世代の地域人材の育成を進めるべきです。
  • 産業をふ化するまちづくりを
人口減少、高齢化が進む中、地方都市ではまちのコンパクト化を目指す動きがあります。住民サービスの効率化による財政負担軽減といった“守り”のコンパクト化だけではなく、働く人たちが活き活きと暮らし、新しい産業を生み出す仕掛けに満ちた空間といった“攻め”のコンパクト化を進めるべきです。
  • 地域構造・行政構造の変革を ~200の都市圏~
産業・ひと・まちづくりといった地域の自律的・持続的な変革のためには、スマートな地域構造を実現し投資余力を生み出すことが必要です。そのために通勤圏をもとに全国200前後の都市圏を形成し、一体的な施策運営で行政コストを削減します。また、行政構造では、地域本来の主体である市民(民間企業、NPO、大学、個人など)が地域マネジメントに積極的に参加する姿に改めるべきです。 

お問い合わせ先

内容に関する
お問い合わせ

株式会社三菱総合研究所
〒100-8141 東京都千代田区永田町二丁目10番3号
政策・経済研究センター 白戸、川崎
プラチナ社会研究センター 鎌形
E-mail:chihousousei-ml@mri.co.jp

取材に関する
お問い合わせ

株式会社三菱総合研究所
〒100-8141 東京都千代田区永田町二丁目10番3号
広報部 峰尾、瀨戸口、永井
E-mail:media@mri.co.jp