経営戦略

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1. 現状認識

経営の基本スタンス

日本は、世界に先駆けて、少子化、高齢化、人手不足、低成長、財政赤字、都市化、CO2排出、自然災害など、多くの社会課題に直面してきました。残念ながらこれらの課題は完全には解決されていない状態が続いており、中には「CO2排出量削減」のように、一部の先進的な他国に後れを取るケースもでてきています。
他方、これらの課題と無縁だった国々でも、同様の課題が顕在化しはじめています。
このような状況の中、人工知能(AI)、モノのインターネット化(IoT)、ロボティクス、ライフサイエンスといった新たな技術を活用したイノベーションによって、社会課題を解決しようという動きが出てきています。
国際連合のSDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)やCSV(共通価値の創造:Creating Shared Value)に象徴されるように、各国の政府および企業も、「ビジネスによる社会課題解決」に軸足を置くようになっています。従来のCSR活動にとどまることなく、社会的な価値をビジネスによって提供する分野は、経済性と社会性を両立できる成長フロンティアとしても位置付けられるようになってきました。
当社グループは、「英知と情報に基づき社会へ貢献する」ことを経営理念に掲げ、設立以来、本業を通じた社会貢献を標榜してきました。
社会課題は当社の活動の起点であり、事業を通じてその解決に寄与することで、社会の期待に応え、社会とともに成長することを目指しています。この意味で、当社グループにとってのCSRやCSVは、事業活動そのものであると考えています。
政策とビジネスによって社会課題の解決に取り組み、その過程で事業を創造し、より豊かで明るい未来を実現することが、当社グループのミッションです。

当社グループの強みと事業機会

当社グループの強みは、社会課題の解決に取り組んできた原点から今日まで積み重ねてきた実績、ノウハウ、ネットワーク、そして人財にあります。
社会・経済の将来を見通して、「あるべき未来社会」の実現に向けた課題解決策を構想し、その実現策としての政策立案や事業コンサルティング、I C Tソリューション、そして産学官で連携した社会実証や実装に深く関わってきました。
「Think(構想)」にとどまらず、「Act(実践)」まで一貫して取り組む「総合力」(Think & Act)が特徴であり、これを発揮できる強みとして多くの実績とノウハウを蓄積しています。
また、多種多様なステークホルダーと協業しており、関係各主体との幅広いネットワークを創り上げてきたことも強みです。
当社グループの事業を担う人財は多彩かつ高度なプロフェッショナルです。中でも科学・技術に強い人財の豊富さは、先進技術を活用したビジネスの開発やそれらを前提とする制度設計において、高い優位性をもつものと自負しています。
こういった強みを活かして、「ヘルスケア・ウェルネス」「環境・エネルギー」「モビリティ」「教育・人材育成」など幅広い分野での社会課題を、当社が得意とする「政策」と技術イノベーションによる「ビジネス」で解決し、お客さまやパートナーと共に未来を創り出していきます。
「政策・制度(官)による社会課題解決」に加えて、「先進技術を活用したビジネス(民)による社会課題解決」を、当社グループの新たな事業機会と捉えています。
政策、ビジネスそれぞれの領域での課題解決のみならず、それらをつなぐ、あるいはまたがる領域にわれわれの強みを活かせる事業機会が広がっているとみています。
足元ではこの領域で具体的な事業案件の組成が進んでおり、手ごたえも感じています。

当社グループの強みと事業機会

2. 今後の計画

新中期経営計画

2015年から2017年までの中期経営計画(中計)は、2020年までを見通した“6年の計”の前半戦と位置付けてきました。「人と組織の持続的成長」を基本方針として、「現在の強みの伸長」や「新たな強みを追加」の事業戦略と、「コラボレーション推進」「人財強化」などの経営改善戦略に取り組んでまいりました。
新たな中期経営計画は、“6年の計”の後半戦として2018年から2020年の3カ年で、成長を加速する計画です。
その基本的な考え方は、「人と組織の持続的成長」の方針は継続し、「事業ポートフォリオ改革」「ビジネスモデル改革」それらを支える「働き方改革」という3つの改革を推進していきます。
3つの改革を通じて、社員の働きがいと働きやすさを高め、社員の満足度(ES)を起点として、それがお客さま満足度(CS)の向上につながり、事業による社会課題の解決に貢献する(CSR)という価値創造の好循環を実現していきます。
「事業ポートフォリオ改革」は、事業を「成長事業」と「基盤事業」に分け、それぞれの戦略に沿ってメリハリの効いたリソース投入を進める計画です。
成長事業には、公共分野と民間分野をつなぐ領域で展開する官民共創ソリューション事業と民間企業向け事業を分類し、海外への展開も視野に入れています。
一方、基盤事業には、官公庁事業と金融機関向けの事業を分類し、事業の入れ替えや生産性向上によって安定成長を目指す計画です。
「ビジネスモデル改革」では、大きな事業機会を構想して、多様なパートナーとの連携を深化・拡大し、事業の規模・範囲・速度の向上(スケール・スコープ・スピードのアップ)を図ります。特に、人手や時間に依存しないストック型のサービス・事業の育成・拡大によって、生産性と収益性の向上を目指します。
「働き方改革」は、人財育成とワークスタイル改革を両輪に、充実した能力・スキル開発と成長の機会を提供するとともに、生産性が高く働きやすい環境を実現してまいります。

3. 具体的な取り組み

成長と基盤

当社グループは、シンクタンク・リサーチ、コンサルティング、ICTソリューションの機能により、事業を展開しています。また、お客さまは、官公庁、民間企業、金融機関と幅広い分野に存在しています。
今後の成長領域として、当社グループの強みが活かせる官公庁と民間にまたがる領域、ならびに新規事業や海外展開が拡大しつつある民間に着目しております。
このような背景から、成長事業として「官民共創ソリューション事業」と「民間向け事業」を位置付けました。
また、これまで官公庁向け業務を中心としていた海外事業は、民間企業の海外展開支援に注力する方向としています。
一方で、基盤事業には、当社グループの強みである「官公庁向け事業」と「金融機関向け事業」を位置付け、安定成長を目指します。

成長と基盤

成長事業

「官民共創ソリューション事業」は、公共分野と民間分野をつなぐ横断領域で、コンサルティングからICTソリューションまで総合的なサービスを提供し、政策とビジネスで課題解決を図る事業です。
政策分野での豊富な実績や知見を活かした社会制度の改革のみならず、経営課題の解決およびその実践まで取り組んでまいります。
優先的に取り組む分野として、ヘルスケア・ウェルネス、環境・エネルギー、次世代インフラ、総合ICTにターゲットを定め、高い収益率を狙うストック型ビジネスの展開と、ICTソリューションまでを担うスケールアップを進めます。
既に、医療機器・介護ロボット開発支援や介護事業者向け高齢者自立支援サービス、メガソーラー事業や卸電力取引向け情報配信サービス、電力会社向け自由化対応の小売システム提供などが実績としてあがっています。
「民間企業向け事業」は、働き方改革、生産性向上、データ活用、イノベーションなどの企業ニーズに対して、AI、ロボティクス、ブロックチェーンなどの新技術を活用したサービスを提供します。
これまでの研究開発によって商品化したHR-Tech(ITを活用した人事関連業務支援)、RPA※1(ロボットによる業務自動化)、建設分野の人工知能(AI)、マルチクラウド(複数のクラウドサービス利用)などのサービスを中心に、事業の拡大を目指します。

※1 Robotic Process Automation

基盤事業

「官公庁向け事業」は、三菱総合研究所のシンクタンクの中核をなす事業です。その領域は多岐にわたっており、ヘルスケア・ウェルネス、環境・エネルギー、次世代インフラ、地域創生、科学技術、原子力安全の分野で、科学技術や政策知見に基づく総合サービスを提供しています。中計期間では、生産性向上などの質的転換を図りながら、連結ベースでの安定成長を目指します。
「金融機関向け事業」は、メガバンクの業務、制度対応、システム開発をトータルに支援しています。
このノウハウを活かして、金融機関のみならず、高い信頼性が求められる大規模基幹システムの開発など、事業の多角化も積極的に進めています。
いずれの事業も、質や効率をさらに磨き上げ、競争力を高めて、安定的な成長を図る戦略で進めてまいります。

ガバナンス・CSR

ここ数年で、コーポレートガバナンス・コードなど企業統治(ガバナンス)を重視する動きは定着してきたと思います。
企業価値を評価したり、投資先を選択したりする際に、環境や社会に対する企業の責任やガバナンスの状況を重視する、いわゆるESG投資の流れも強まっています。
当社グループも、ガバナンスやCSRを重視することはもちろん、社会的な存在としての企業が果たすべき責任という視点に常に立って、企業活動を推進していきます。
当社グループのCSR活動の基本方針は、「知の提供による社会貢献」「人財育成に対する社会貢献」「企業としての社会的責任の遂行」です。「本業を通じた社会課題の解決」に加え、教育分野や人づくりへの貢献、未来を担う中高生の育成にも積極的に取り組んでおります。
また、企業の社会的責任の国際規格であるISO26000に配慮するとともに、SDGsに賛同してグローバルコンパクトに署名参加するなど、グローバルな視点でCSR経営を推進してまいります。

品質管理

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品質は、当社グループの信頼の源であり、最優先の経営テーマであると認識しています。品質向上のために、さまざまな仕組みやルールの整備を継続して進めるとともに、社員には品質重視の理念、意識の徹底を図っています。 社会の変化や技術の進歩に伴い、品質のあり方やレベルも違ってくるので、今後も品質向上に対する不断の努力を続けてまいります。

4. 具体的な取り組み

2020年目標

2020年の財務目標水準は、売上高で年平均4%成長の1,000億円、経常利益は9%成長の80億円、ROE10%を目指します。
中計の3つの改革を進めることで、この目標達成を蓋然性の高いものにしていきます。今回、中計の財務目標を初めて公表しました。各ステークホルダーに当社グループの経営方針、事業戦略についての理解を深めていただくことを目的としています。

2018年9月期業績予想

2018年9月期は、2019年9月期以降の成長のための足場固めと位置付けています。事業基盤、経営基盤の両面で足場をしっかり固め、大きな飛躍につなげてまいります。
2020年は、三菱総合研究所、三菱総研DCSともに、創業50周年の節目の年を迎えます。
これまで培ってきた技術、知見、ネットワークをベースに、社内外との連携を強化し、さらなる課題解決にチャレンジしてまいります。

財務目標

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