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2020 MYPAGE
PROJECT STORY 04 環境技術×新規市場開拓

企業の内と外の視点から、
既存技術を新しい市場へ送り出す

大気汚染防止装置の独自技術を活用した新規事業の立ち上げプロジェクト

INTRODUCTION

新規ビジネス創出への道筋を示す

日本の環境技術は世界でもトップクラスであり、多くの国内企業が高度な環境性能を持つ製品を世に送り出している。こうした技術は、他分野への技術転用の可能性を秘めているが、蓄積のないところから新たなビジネスにつなげていくことは一企業にとって容易なことではない。

アイデアを掘り起こし、その実現性・将来性を詳細に検討するためには、確かな目利き力が欠かせない。

次世代環境ビジネスグループの高島由布子とクルマス・ウリッセスは、以前技術輸出支援で関わった企業から、大気汚染防止装置で使用されている独自技術を用いた新市場開拓のコンサルティングを依頼される。ゼロからスタートし、相手企業の社員と議論を交わし、三菱総研の幅広い専門性を駆使しながら有望なアイデアを選定し、食品関連装置への転用という新しいビジネスへの道筋を示すに至った。

※守秘義務の関係上、実際のプロジェクト内容に一部変更を加えています。
MEMBER

高島 由布子- Yufuko Takashima -

2000年入社/環境・エネルギー事業本部 次世代環境ビジネスグループ グループリーダー/理工学研究科 応用化学専攻 修了
本プロジェクトのリーダー。公害対策から水資源まで、環境・エネルギー分野を幅広く扱う企業コンサルティングのエキスパート。

クルマス・ウリッセス- Ulysses Coulmas -

2016年入社/環境・エネルギー事業本部 次世代環境ビジネスグループ/人文学研究科 日本学専攻 修了
高島とともに本プロジェクトを担当。ワークショップやその後の検討チームの運営を支える。

PROCESS

膨大なアイデアから、有望な候補を導く

民間企業のコンサルティングに長年携わってきた高島は、ある日、大手重工メーカーから相談を受けた。内容は、大規模工場などの排ガスを処理する大気汚染防止装置に使われる独自技術に多少の手を加え、「既存業界とはまったく異なる産業や市場に拡売できないだろうか」というものだった。

「優れた技術や製品を持っている企業があって、それを既存の分野以外に使いたいという相談をコンサルタントとして受けたとき、私が、まず考えるのは、『市場』を変えるか、『領域』を変えるか、『顧客』を変えるか、この三つです」

市場を変えるというのは、たとえば、国内で行っている事業を海外で展開することである。領域を変えるのは、今回の企業の排ガス処理装置のように、特定の分野でしか使っていなかった製品を全く違う分野で使えるようにすること。顧客の変更は、一例を挙げるなら、長年、企業向けに製造し、BtoB取引だけ行ってきた商品を小型化するなど消費者向けの仕様にして、BtoCに展開するといったことだと、高島は説明する。

「端的に言えば、市場、領域、顧客の三つに関して相談に乗り、あれこれとアドバイスするのが、我々の重要な仕事の一つです」と彼女は断言する。

独自技術を核とした新しいビジネスを見つけるプロジェクトは、リーダーの高島と、クルマスを含めた4人でチームを組んで対応することになった。

本プロジェクトでは、アイデアを募るため相手先企業内でワークショップを開催、有望なものをいくつかピックアップし、それぞれに検討チームを設けて本格的に実現性を探るという、という流れで進められた。

まずは顧客側の事務局を通じて、営業から販売、調達、研究開発などの製品を取り巻くさまざまな部門へのヒアリングを実施。さらに新規ビジネスのアイデアを持つ顧客企業の若手社員を含め20名規模の参加者を募り、集中してアイデア出しを行うため、丸一日のワークショップを開いた。今回の場合は、どの分野で、どのような場面で、独自技術が使えそうか、自由な発想に基づいてアイデアを出してもらった。

三菱総研のプロジェクトメンバーの4人は、ワークショップのファシリテーターであると同時にアイデアを出す主体にもなる。コツは「どんな突飛なアイデアも否定しない」ことだという。メンバーは「こんな優れた技術や製品を持っているのに、既存の市場だけで販売しているのは、もったいない」と言いながら、参加者のやる気を鼓舞していく。その結果、全員が新市場開拓の意欲に燃え、100から200ものアイデアを壁に張った模造紙に書き出した。

「顧客も私たちもパートナーとして一緒にアイデア出しに熱中する。その熱気が新ビジネスを生み出す原動力となります。当社として知見を提供することはもちろんですが、同時に新市場に挑むという意気込みを高めていくことも欠かせません」

次の段階では、アイデアを絞り込んでいく。せっかく出たアイデアを捨てていくのだ。

「みんなから出たアイデアを一つひとつ冷静な目で見て、市場があるのか、費用対効果はどうなのか、さまざまな検討を加えて落としていきます。かなり有望だと思える案が数案残るまで減らします」

3案から4案程度に厳選したら、さらに深い検討を加える検討チームを作り、市場調査や相手先企業との親和性などを検証。三菱総研のメンバーは、各検討チームに対して市場情報や事業を組み立てるうえでのアドバイスを提供する。

「お客様は自分の市場についてはよくご存知ですが、他の市場や業界の動向には詳しくないため、私たちの情報やアドバイスが役立つのです」

「とはいえ、実はシンクタンクの研究員は、それぞれ専門の領域を持っており、一人がすべての分野や業界に精通しているわけではありません。そこで私たちはどうするかというと、社内で他の部署の助けを借ります。これが容易にできる点が、総合シンクタンクである三菱総研の何よりの強みです。社内を歩くだけで、あらゆる分野の専門家の知見を得ることができ、お客様からのたいていの質問には回答できます」

RESULT

他分野への進出の糸口をつくる

ワークショップで残った4つのアイデアは、最終的に一つに絞り込まれた。
高島は、今回、途中からヘルスケア・ウェルネス事業本部の研究員に協力を要請し、アイデアの検討に参加してもらった。4案のうち1案が、食品関連の装置に転用しようというもので、衛生や殺菌に関しての知識が不可欠になったためだ。結局、その食品関連装置案が、最有力候補として残った。

高島は「それでいい」と言う。「一つ残れば十分なのです。お客様は迷わず、その新規事業に挑戦できるから」と言い切る。

「お客様にとって私たちと仕事をしたメリットは、新規事業の立ち上げに道筋がついたことです。始めたばかりの事業で、利益が出る段階にはもちろん至っていませんが、1年後、2年後、3年後に何を決め、何を行うといったロードマップとして具体的な行動計画に落とし込んでいるので、事業化に向けて着々と準備が進められています」

FUTURE

幅広い視点から技術の可能性を探る

グローバルに市場が拡大し続ける中、多くの企業が次代の柱となる新事業の創造を目指している。しかし、当然のことながら「市場」「領域」「顧客」を変えようとしても、地の利のないところになかなか踏み込めないのが実状だ。

「これまで存在していない製品を作って、新しい市場に打って出ようとするとき、どうするのが最も良いことなのか、正解は誰にも分かりません。ただ、世の中を見渡してみれば、成功した例、失敗した例は、いくつもあるので、私たちはそれらから類推して、正解に近いであろう『確からしい何か』を見つけようとします。そのようなときに、さまざまな業界に対して、あるいは官民の隔たりなく豊富な知見を持つ当社がお役に立てるはずです
今回は技術の『領域』を変える案件でしたが、『市場』を変えるという意味では官民連携の技術輸出を提案することもできます。特に環境技術は、日本が世界でリードしているため、アジア諸国をはじめ、海外市場に展開していくことが大いに期待されています。省庁との豊富な経験や国の政策動向に精通している私たちだからこそ提案できることがたくさんあります。このようにして、これからも企業のチャレンジを後押ししていきたいですね」

技術を磨くことはもちろん、その技術をいかに活かすかが企業の成長の鍵となる昨今、公共・民間の隔てなく多様な実績を持つ三菱総研だからこそ、その豊富な知見を組み合わせることで企業の新たな可能性を導くことができるのだ。