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ポストコロナ社会のウェルビーイング

MRI版ウェルビーイング指標の活用を目指して

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2022.3.9

株式会社三菱総合研究所

株式会社三菱総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:籔田健二、以下MRI)は、ポストコロナ社会で目指す姿として「レジリエントで持続可能な社会」を掲げ、その究極的な目標をウェルビーイングの最大化と位置づけました。本リリースでは、ポストコロナ社会のウェルビーイングのあり方を示し、それを測定するための枠組みとしてMRI版ウェルビーイング指標を公表します。

ポストコロナ社会の究極的な目標となる「ウェルビーイング」

コロナ危機下で加速した潮流を踏まえ、MRIはポストコロナで目指すべき社会のイメージを「レジリエントで持続可能な社会」と見定めた。将来が不透明な状況において、気候変動や経済格差を抑えつつ豊かさを実現するためには、内外経済・社会におけるショックにしなやかに対応し、地球環境との調和を保ちながら社会全体の豊かさを持続的に高めていくことが必要だ。

そして、ポストコロナにおける豊かさとは、経済成長一辺倒ではなく、心身の健康や自己実現、社会貢献などの幅広い要素を包含する概念となる。MRIは、目指すべきレジリエントで持続可能な社会における究極的な目標を「ウェルビーイングの最大化」と位置づけ、人々のウェルビーイングを高めるために必要な要素を指標化することを試みた。

地球と社会に制約される中での人間の主観的幸福

ポストコロナ社会でウェルビーイングを高めるには、「人間」が享受する主観的な幸福に加えて、人間が生活する上で無視できない外部要因である「地球」、そして課題が複雑化する中で合意形成の困難を伴う「社会」という二つの制約条件を明確に位置付ける必要がある。そこでは、「豊かな地球と社会に支えられて人間のウェルビーイングが実現する」という視点に加えて、「人間が地球と社会に能動的に働きかけることでウェルビーイングが向上する」という双方向性がカギとなる。

9要素・21項目・36指標から構成されるMRI版ウェルビーイング指標

こうした基本的なウェルビーイングの構造を踏まえて、MRI版ウェルビーイング指標では、指標を人間・社会・地球に関する要素から構成し、人間について4要素、社会について4要素、地球について1要素、計9の要素に分類した。これら9要素をさらに21項目・36指標に細分化し、ダッシュボード方式の主観的幸福度(subjective well-being)として定義した。

生活者1万人アンケートが示す日本のウェルビーイングの姿

さらに、日本のウェルビーイングの状況をさまざまな角度から分析するため、36のウェルビーイング指標に関する「重要度」「満足度」「実現度」を生活者1万人アンケートで調査した。その結果、日本の生活者は総じて「心身の健康」や「所得・資産」といった生活の自立にかかる要素、そしてセーフティ(安全)やサステナビリティ(持続可能性)を重視する傾向が明確になった。また、生活満足度については、シニア層が圧倒的に高い反面、ミドル層(40代・50代)では生活への不満が大きい状況が浮かび上がった。ウェルビーイング向上に対する個別指標の影響度を分析した結果では、「将来への希望」が最も大きな影響を持つこと、「所得と資産」「精神的な健康」「財政の持続性」など、身近な生活や社会の基礎的インフラに関わる指標の影響度が大きいことなどが判明した。

また、生活者を価値観と置かれた状況でセグメント化した分析では、生活満足度が低く個人の生活を重視する層におけるウェルビーイングが低く、社会からの恩恵が受けられず将来への希望が感じられていない状況が明確に表れた。一方、社会との関係を重視する層においては、「財政の持続性」や「地球環境の保全」といったサステナブル関連の指標の改善がウェルビーイング向上に大きな影響を与えることがわかった。社会全体のウェルビーイングを高めていくにあたり、社会からの恩恵が受けられない層に手を差し伸べつつ、ゆとりのある層については社会貢献の意識を引き出していくなど、生活者の価値観と置かれた状況に応じたきめ細やかな施策を講じることの重要性が示唆される。

目指すべき社会の実現に向けた今後の活用と展望

MRI版ウェルビーイング指標は、ポストコロナ社会において国・地方自治体や企業が政策立案や事業展開を行うにあたって、市民や顧客、従業員といったステークホルダーのウェルビーイングを高めるための評価指標として活用可能だ。気候変動や経済格差の抑制、従業員のエンゲージメント向上など、日本社会が直面する困難な課題において、「ウェルビーイング最大化」を目的とした施策を講じることは、社会課題解決に向けた重要な視点となる。

MRIは、時系列データの蓄積や客観指標との紐付け、生活者セグメントの細分化といった機能向上を進めつつ、MRI版ウェルビーイング指標を現実の政策や事業を評価する手段として活用しやすいツールとするよう、取り組みを続けていく所存である。

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