内外経済の中長期展望 2014-2030年度

三菱総合研究所
2014.04.21

プレスリリース

株式会社三菱総合研究所(代表取締役社長:大森京太、東京都千代田区永田町二丁目10番3号)は、2014-2030年度の内外経済の中長期展望に関するレポートをまとめました。

要 旨

 【日本経済の展望】
  • わが国では、人口減少が続く中、中長期的に持続可能な成長力を示す潜在成長率が、現在の+0.6%程度から2030年度にかけて+0.3%程度へと、低下傾向をたどることが予想される。
  • その下で、実質GDP成長率(年度平均)は、 11-15年度+1.1%、16-20年度+1.1%、21-25年度+0.7%、26-30年度+0.6%と予測する。15-16年頃には、GDPギャップが基調としてプラスに転じ、デフレからは脱却するとみられるが、成り行きの成長率は低下していく見通しである。
  • しかし、今後の政府の政策や企業・国民の取り組み次第で成長力を底上げし、一人当たりの所得水準を引き上げる余地はある。三菱総合研究所では、昨年の中長期展望(2013年4月)において、以下の5つの取り組みが実行されれば、「1%程度の成長力引き上げが可能」との試算を示した。この基本的な見方に変更はない。
  1. 量と質の両面からの労働力の底上げ:目指すべき社会は、若者、女性、高齢者など多様な人材が能力・個性を発揮できる「人財立国」である。就労インセンティブを高める税・社会保障制度とグローバル人材育成や就労支援などを推進すべきである。
  2. 生産性の上昇:資本や労働の新規産業や成長市場へのシフトを促し、イノベーション創出や生産性向上につなげていく必要がある。政府には、規制・制度改革や円滑な労働移動のサポートなど、民間の活力を引き出す環境づくりが求められる。
  3. 創造型需要の開拓:需要面の拡大を図るには、企業の市場開拓意欲が欠かせない。日本の直面する課題解決につながり、人々が真に求めるモノやサービスの提供が増えれば、需要が喚起され、国民の「生活の質(QOL)」も改善する。
  4. グローバル需要の取り込み:中間層拡大が進むアジアは、近い将来、日本と同じ課題に直面する。インフラ輸出など日本が先行メリットを発揮できる分野もある。輸出に加えて、海外での所得拡大、海外からヒトと投資を呼び込む努力も求められる。
  5. 持続可能性の確保:持続的成長には、社会保障制度改革と財政健全化を進め、「未来へ投資できる社会」を目指す視点が不可欠だ。たとえば、国土・地方・都市のリノベーションの推進により、地方の活性化と行政コストの抑制を同時に進めていく必要があろう。
 【海外経済の展望】
  • 2030年までの世界経済は、新興国主導での成長トレンドが続くとの展望に変わりはない。とくにアジア新興国では、中間層の拡大や都市化の進展を背景に経済・市場規模の拡大が予想される。各国、とりわけ中国が構造問題を克服して安定成長を続け、アジアの地域経済連携が進めば、巨大な経済圏が誕生する。ただし、成長率は低下傾向が見込まれる。各国とも構造問題への対応の遅れや、「中進国の罠」に陥るリスクには留意が必要だ。
  • 米国は、住宅バブル崩壊後の構造調整が進展したほか、シェール革命という新たな強みも加わり、安定成長を続ける見通しが高まった。今後、2%程度の成長が続くと予想する。欧州は、2014年以降緩やかな回復を続けるが、バランスシート調整の長期化から低成長が続くであろう。中長期的にも、労働力減少が進むため、1%程度の成長を予想する。
お問い合わせ先

株式会社 三菱総合研究所
〒100-8141 東京都千代田区永田町二丁目10番3号
政策・経済研究センター 武田洋子
電話:03-6705-6087 Email:ytakeda@mri.co.jp


ページトップへ戻る