2019、2020年度の内外景気見通し
─減速する世界経済、米中対立の激化で強まる下押し圧力─

三菱総合研究所
2019.08.09

ニュースリリース

株式会社三菱総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:森崎孝)は、2019年4-6月期GDP速報の発表を受け、2019、2020年度の内外景気見通しを発表しました。

日本の実質成長率予測値:2019年度+0.8%、2020年度+0.5%
(前回予測値(6月10日):2019年度+0.7%、2020年度+0.5%)

海外経済

米国は、堅調な雇用・所得環境が続くものの、米中貿易摩擦の影響が段階的に顕在化し、消費や投資、輸出の重しとなる見込み。18年の3%近い高成長から減速し、19年は前年比+2.2%、20年は同+1.9%と予測する。

ユーロ圏は、英国の合意なきEU離脱による景気下振れの可能性が高まるなか、世界経済減速による輸出・生産の悪化、雇用・所得環境の改善ペース鈍化による消費減速を予想する。19年、20年ともに、前年比+1%台前半の低い成長にとどまると予測する。

新興国は、米中経済の減速、半導体需要の調整など輸出環境の悪化を背景に、成長減速を見込む。中国は、政府による追加的な景気下支え策が一定の効果を示すとみられるが、内需の減速や米中貿易摩擦の激化による成長減速は避けられない。19年は前年比+6.1%、20年は同+6.0%と予測する。

日本経済

19年度は、米中経済の減速や半導体需要の調整を背景に輸出が減少する一方、堅調な雇用・所得環境により内需は底堅い推移が見込まれ、前年比+0.8%と潜在成長率並みの成長を予測する。消費税増税による景気の振れは、過去の増税時に比べて小幅にとどまる見込み。20年度は、半導体需要の調整一巡により輸出・生産が持ち直す一方、年度後半にかけて増税対策効果の剥落から内需の伸びが鈍化するとみられ、同+0.5%と減速を予測する。

世界経済のリスク要因

世界経済の先行きは不透明感が強い。20年にかけて世界経済が景気後退に陥るリスク要因として、次の3点がある。

  • ①米中分断の深刻化:対中制裁関税の第4弾(関税率10%)が現実味を増す中で、この先関税率が25%まで引き上げられれば、世界GDPが▲0.5%ポイント下振れる見込み。対立の激化は、両国経済の消耗を招くほか、貿易や投資、サプライチェーンの寸断を通じて世界の企業活動を停滞させる。
  • ②金融危機への発展:米中対立の一段の激化が、人民元の急落など為替市場にも飛び火しつつある。また、地政学的にも世界各地で緊張が高まっている。こうした複合要因により、金融市場において投資家がリスク資産から資金を引き揚げる動きが継続的に強まれば、既に高い水準にある投資家のリスク回避度が一段と高まり、世界的な金融危機に発展するリスクがある。
  • ③中国経済の信用収縮:中国は、米国との通商対立に加え、国内の信用収縮に伴う成長の急減速リスクを抱える。中国では既に企業・家計債務が高水準にあり、社債のデフォルト額も増加している。中国政府が経済政策運営を誤り、信用収縮を招けば、中国経済に急ブレーキがかかりかねない。
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