電力市場の「今」を知る

環境・エネルギー事業本部  芝 剛史

当社では2016年1月よりMPX®(MRI Power price Index)と称し、電力フォワードカーブを中核に電力卸取引向けのオンラインWEBサービスを行っている※1。7月5日には、MPXサービスの充実と業容拡大を目的としてGenscape, Inc.(本社:米国ケンタッキー州、CEO:Jon Ecker、以下 Genscape)と、卸電力取引向け情報サービスの開発と販売について業務提携契約を締結した※2。本稿ではその狙い、内容についてご紹介したい。

今回業務提携を行うことになったGenscape社のサービスは、日本国内の発電所出力のリアルタイムモニタリングを行うPowerRT®※3である。具体的には、送電線の電流を遠隔で計測することにより発電所の出力を推定するものであり、Genscape社が1999年より米国で開始したサービスである。

電力の市場価格は、稼働している電源のうち、入札価格が最も高いものにより決定される。したがって、その時点での電力価格を知るために、リアルタイムでどの電源が動いているかを知ることが非常に重要となる。現在のMPXサービスでは、各電源の稼働状況をシミュレートすることで理論的に推定しているが、PowerRT®の情報を使えば市場価格を決めている電源をより高い精度で推定することが可能となる。つまり市場で「今、何が起きているのか」を的確に理解し、素早く正しい意思決定ができるようになる。

欧米ではPowerRT®の情報がさまざまな形で活用されている。例えば、ある発電所の運用パターンによって価格スパイク(高騰)や市場分断※4の予兆を判断したり、燃料の過不足の状況を判断したりしている。また、米国では数千の発電所の出力と送電線潮流をモニタリングして送電権※5の価格予測に役立てている。このように、リアルタイムデータによる予兆判断や予測をもとに、短期のポジション調整や1日内でのリスクヘッジ、収益機会の実現に結び付けているのである。

日本の電力取引はいまだスポット取引(1日前取引)と長期相対契約取引が主流で、今のところ1日~1カ月内の短期取引は盛んではないものの、新電力間あるいは旧一般電気事業者間で短期相対取引が進みつつある。今後、時間前取引やリアルタイム市場、短期先渡し取引なども含め短期取引が活性化していけば、PowerRT®のリアルタイムデータもその情報価値を高めていくものと考えている。

現在、日本国内ではおおむね50カ所、出力ベースでは約60%の発電所出力がPowerRT®によりモニターされている。今後、カバー率を上げていくとともに、年内にはMPXサービスと組み合わせたより付加価値の高い情報提供を通じて、電力卸取引の活性化と電力事業の収益安定化に貢献していきたい。

図 PowerRT®-Japanの画面例※6

PowerRT-Japan©の画面例

(図クリックで拡大します)

出所:PowerRT®-Japanパンフレットより


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