輝ける社会、被災地から

三菱総合研究所  小宮山 宏

 東北の大震災からはや半年が経過した。国政の混乱もあり国の対応は遅れ気味だが、被災地の生活再建に向けた力強い動きを感じるのは私だけではないだろう。それも、ただ元に戻す復旧ではなく、この震災を機に新しい安全で快適なまちをつくっていこうという機運が盛り上がっているのを肌で感じている。
 私は、宮城県の震災復興会議の議長として、復興計画の作成に携わった。そこで提案しているのは、全戸に太陽電池と燃料電池を設置し、被災地全域にブロードバンドを整備することや、大規模化、機械化、サプライチェーンの構築によって21世紀の林業のモデルを創生することなどである。また、三菱総合研究所としては、岩手県庁に研究員を派遣し、地域の実情を踏まえたビジョン策定の支援を行うとともに、地域のニーズを捉えた上で、いくつかの復旧・復興に向けた具体的な提案を行っている。福島県については、原子力発電所の事故からの回復というさらなる厳しい条件が与えられている。このため、まずは安全確保の観点から復興の前提となる避難住民の帰還と放射能で汚染された土地の除染を中心に提案しているところだ。
 今回の震災は、各地に大きな被害をもたらしたが、その様相は極めて多様であり、国が一律に復興の姿を提示することは難しい。国が果たすべき役割は、復興のための予算をしっかりと確保し、復興特区など、復興を進めるために必要な制度を整備することである。
 むしろ具体的な地域の青写真(グランドデザイン)は、県および基礎自治体である市町村が中心となり、地域住民や地元企業がこれに協力し、地域の力でグランドデザインを形にしていくことが重要だ。
 日本は、課題先進国であり、環境・エネルギー問題、高齢化など地球的な課題を世界に先駆けて取り組む状況に置かれている。私は、こうした状況の中でわが国が目指すべき社会を「プラチナ社会」と名づけ、その実現に向けて日々邁進している。「プラチナ社会」とは、広い意味でエコな社会、高齢者が生き生きと活躍する社会、一生を通じて成長できる社会、十分な雇用がある社会である。既存のまちでプラチナ社会を創造しようとすれば、すでに機能している仕組みの変更を伴うため、かなりの時間と労力を要する。
 だからこそ、ピンチをチャンスにではないが、ゼロからまちをつくり出そうとしている被災地からプラチナ社会を実現させたいというのが私の思いである。


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