市場環境変化の共通点

常務研究理事  大石 善啓

 各産業を取り巻く市場環境の変化は著しく、そのスピードが加速している。

 例えば、エネルギー産業では、自由化に伴う需給構造の変化、エネルギー商品のさらなるコモディティ化、予想を上回るスピードで進む再生可能エネルギーの普及による電源構成の変化など、政策・制度改革と技術革新が両輪となって、かつてないスピードやスケールで変化している。

 自動車産業では、自動運転やEV化への技術革新、保有からシェアリングへのシフト、テレマティクスやMaaS(Mobility as a Service)のような新たな価値の模索など、産業構造やサービスの劇的な変化が現実になりつつある。

 このような環境変化は、産業界にとどまらず、公共事業にも及んでいる。人口減少や経済成長の減速に伴い、コンセッションのような公共サービスの官から民への移行は、今後ますます拡大するものと予想される。

 それぞれの環境変化の要因やメカニズムは一見異なるが、共通して捉えることができる点も多い。

 従来は、官民によらず、需要サイドよりも供給サイドの市場支配力が強く、供給サイド主導で市場が形成されていた。そこには、供給サイドと需要サイドの情報の非対称性や規制などによる壁が存在していた。

 一方、最近は、情報のオープン化や規制改革などにより需要サイドの自由度や選択肢が増加するとともに、価値観や消費動向が多様化、不明確化し、需給関係における主客が逆転しつつある。さらに、人口減少、高齢化、財政逼迫といった社会の変化、経済や市場のグローバル化なども、直接的、間接的に各産業の市場環境に影響を及ぼしている。

 このような観点に立てば、産業分野ごとの将来像を個別に考え、予測するのではなく、共通する潮流や社会の変化をマクロに捉えることの重要性をあらためて痛感する。


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