除染による環境回復に寄与 ── 「除染・廃棄物技術協議会」設立の背景

Point
人々が暮らす生活の場での除染は、世界中どこも経験したことがない。
これを成功させるカギの一つは、除染に関連した技術・ノウハウの共有化、関連企業の連携だ。
「除染・廃棄物技術協議会」はそのために設立された企業の協議会で、すでに活動を開始している。

 東日本大震災から1年が経つが、飛散した放射性物質の除染は、いまだ解決していない大きな問題の1つである。警戒区域やその周辺に暮らす人々は避難を余儀なくされている。また、福島県をはじめ、東北や関東の広域にわたる農産物や水産物の風評被害もある。これらの対策を含めて抜本的な安全・安心対策が必要だ。住民が一日も早く住んでいたまちに帰れるように、また農家など生産者が安心して作物をつくり、消費者も安心して食べられるように、日本は速やかに除染を進めなければならない。
 ただし、除染は簡単なことではない。今回のような人々が暮らす生活の場での除染は、世界中どこも経験したことがないからだ。チェルノブイリ原子力発電所事故の際には、原発周辺30km圏内の住民は強制退去させられ、まちへの立ち入り自体が禁止された。土地を除染するのでなく人々を住まないようにすることで、対応策を講じたのである。一方、欧米では除染の経験はあるが、施設内など限られた範囲である。たとえばアメリカでは、コロンビア川に隣接するハンフォード廃棄物処分地をはじめ、原子力施設内で作業は行われた。
 すなわち、人の住む場所をこれほどの広範囲にわたり除染するのは、世界ではじめてのことなのである。この作業に、迅速かつ効率的に取り組んでいくためには、国、自治体、企業、研究機関の産官学、そして住民の力を結集しなくてはならない。
 現在、県や市町村は、本年1月1日に全面施行された放射性物質環境汚染対処特措法に基づいて除染実施計画を作成している。具体的には、下水汚泥や瓦礫などの放射性物質で汚染された廃棄物の処理・処分に関する検討を行う。
 また、昨年11月には「除染・廃棄物技術協議会」が設立された。この協議会には、除染などに関連した技術やノウハウをもつ80社以上の会員企業が集まり、業種や規模の枠を超えた取り組みを始めている。各社がもつ技術をどう使っていくのかを示す「技術資料」の作成・公開や「定例会」の開催を通して、企業同士の連携、情報共有を行い、除染作業の効率化やスピード向上を促し、早期の環境回復を目指す。
 いまや原子力事故の代名詞ともなっている「フクシマ」。困難な目標を克服した事例の代名詞として、歴史に名を残す決意で取り組むべきだ。当社でも、除染・廃棄物技術協議会の事務局をつとめるほか、多分野にわたる専門家が新たにチームを組み対応にあたっている。

除染等のロードマップのポイント


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