自由で豊かな高齢期を過ごす

Point
定年後20年間、自由で豊かな時間を過ごす。
医療・介護サービスの充実により、いざという時の「安心感」がキーになる。
各地域のニーズにあった特色あるリタイヤメント・コミュニティが必要。

 日本人の平均寿命は、男性79.6歳、女性86.4歳。60歳で定年すると、そこから20年間は、仕事にも子育てにも縛られない自由な時間が待っていることになる。介護が必要な人は、70代は1割、80代で4割であり、多くの人は元気なシニア層である。
 そこで、定年後の20年間をいかに元気で過ごすかが焦点になる。就労はもちろんだが、米国では、リタイアメント・コミュニティ(住居・娯楽・医療施設などを併せ持つシニア向けのまち)が2,000以上も展開され、アクティブなシニア層に人気だ。
 日本では、これまで高齢者が入居するといえば、老人ホームのようないわゆる「施設」であった。これからは、元気なうちから移り住み、充実した生活を送ることができるコミュニティが求められるであろう。コミュニティの中では、スポーツ・音楽・園芸など、多彩なプログラムが展開され、同じ趣味を持つ友人の輪を広げていく。軽い仕事やボランティア活動も元気の源になる。“おしきせ”のサービスでは満足しないシニア層である。居住者同士で新しいサークルを生み出し、自ら運営をしていくことがコミュニティ活性化につながる。
 このようなコミュニティの概念は、日本でも10年以上前から紹介されてきたが、国内にはまだ、実例が少ない。では、理想とするリタイヤメント・コミュニティが広がるには何が必要か。
 その1つとして、「最後まで住み続けられる」ことが重要だ。元気なうちだけでなく、徐々に身体機能が落ちても、老人ホームに移り住むことなく、必要があれば医師や看護師・ヘルパーなどの訪問を受けながら生活できる環境を整備する。昨今の在宅医療の技術・機器の進歩は目覚しく、多くの治療が在宅でも可能になった。これまで施設や病院の中で行われてきたことがコミュニティの自宅の中で提供されれば、施設や病院に移る必要がなくなる。他国の例をみても、スウェーデンではASIHという24時間体制の多職種による高度在宅医療、オランダではIT(在宅のモニタリング健康機器等)を活用した在宅医療などが進んでいる。こういった高度在宅医療を併せ持つコミュニティが求められるであろう。
 さらに、日本人の「土地への執着」や「親族との近居志向」を考えれば、いわゆるリゾート地だけでなく、全国各地にこういったコミュニティをつくることも重要であろう。周辺地域のシニア層の声を十分に取り入れ、各地域で特色あるコミュニティができれば、理想の20年間も夢ではない。

諸外国における医療・介護のデータ


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