微細藻類からのバイオ燃料供給の将来性

Point
第3世代バイオ燃料として期待される藻類。
2020年頃には、ジェット燃料代替として本格的に導入開始。
コスト低減のポイントは、技術開発と副産物の有効活用。

 地球温暖化問題や資源・エネルギー供給制約への対応に向け、エネルギーを創り出す「創エネ」と資源を再利用する「循環」の技術が重要性を増している。創エネについては、太陽光発電や風力発電に次ぐ、次世代のエネルギー源として有望なのが微細藻類だ。微細藻類とは文字通りミクロ単位の微細な藻のこと。光合成でCO²を吸収しながら成長する植物で、搾油して精製すれば良質な燃料になる。2008年以降、日米欧の主要航空会社がバイオ燃料を混合したジェット燃料でのテストフライトを実施している。開発ターゲットとしては、CO²排出抑制対策や代替燃料対策において液体燃料の必要度が特に高いジェット燃料代替が主であるが、ディーゼル燃料代替としても利用可能である。
 バイオジェット燃料は油糧作物など、さまざまな原料から製造可能だが、なかでも微細藻類は土地生産性が高く、水さえあれば限られた土地で大量に培養できる。たとえば、微細藻類の生産能力を100トン/ha・年と仮定すると、10万kL/年(羽田空港では約150万kL/年を給油)の燃料生産に必要な土地面積は2,500ha(5km四方)という試算例がある。ブラジルでのサトウキビ由来バイオエタノールでは約14,000haの面積が必要となるため、6分の1程度の面積で済む計算となる。また塩害地や荒廃地でも生産可能なため、食料競合問題も回避できる。さらに、微細藻類には未発見のものが多く、有望な藻類が見つかれば遺伝子操作を施して油分を増やすことも可能だ。
 米国では1970年代終わり頃から微細藻類に関する研究が本格化したが、その後の原油価格低位安定化などを背景に下火になった。しかし、2007年初頭のブッシュ大統領による年頭教書演説を契機に盛り返し、エネルギー省に加え、石油メジャーやベンチャーキャピタルなどからの資金で研究開発が活性化している。日本でも、東京大学発のベンチャー企業であるユーグレナ社がいち早く注目し、沖縄での実証実験、副産物である機能性食品や化粧品の販売を始めている。さらに、JX日鉱日石エネルギー、デンソー、IHIにより「微細藻燃料開発推進協議会」が2012年に設立され、10社が共同で研究開発の基盤づくりを進めている。実用化のカギは、油分の抽出・精製技術の開発に加え、効率的な培養法の確立、搾油後の有用成分の利用であり、こうした課題のブレークスルーに向け企業の研究開発が本格化してきた。

※ 「微細藻類を利用した燃料の開発」(産業競争力懇談会、2012年3月)

バイオマスエネルギーロードマップ(微細藻類由来バイオ燃料)


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