事業支援を強化する本社間接部門改革

Point
これからは「生産性向上」に加えて「事業支援サービスの強化」が必要。
眠った人材の活性化による業務と人材のベストマッチングに三つのカギ。
この改革はワークライフバランスや雇用の多様化など新たな流れの実現にもつながる。

 これまで、本社間接部門(総務、人事、経理など)は数多くの生産性向上の対象となってきた。1990年代はITの活用促進を含めた業務改善、2000年代はシェアードサービスセンター(=SSC)設立による業務集中化・標準化とローコスト体制の構築などが行われ、一定の成果を挙げてきた。
 昨今、グローバル化が加速し企業の競争環境が一層厳しくなるなかで、生産性向上による更なる効率化実現に加え、「事業成長を推進するための支援サービス」への関心が高まっている。例えば、グローバルでの事業展開を加速するためのグローバル人事制度の設計・導入やスピーディーな事業拠点設立のための経理・総務・人事標準パッケージの提供といった機能である。
 実現に向けては、新たな事業支援サービスを既存の業務に統合し全体像を明確に定義した上で、各業務を再設計し、人材を再配置する必要がある。ところが、大半の企業は既存の人材を十分に活用できているとは言えず、眠った人材資産も多く存在している。再配置の際に、人材資産を掘り起こし、潜在能力が発揮できるように業務と人材を整合させ、ベストマッチングを図ることが重要になる。
 某化学メーカーでは一連の取り組みを行い、約3割の生産性向上を実現した。人員を事業支援に振り向けることで、その後3年間で海外売上90%増という事業の急成長を後押しした。
 事例から成功の三つのコツを見出すことができる。
 一つ目は、再設計する「業務」のスペックを従来と桁違いに細分化して、棚卸しすることである。これによって、業務と人材のすり合わせがきめ細やかになり、人材のアイドリングが減る。
 二つ目は、再設計された業務に対して、個人ごとに不足するスキルを把握し能力開発を行うことである。個人特性に適したスキルアップが加速し、多種多様な人材の活性化につながる。
 三つ目は、トップダウンによる押しつけではなく、相性や仲間意識に基づいたチームワークを大切にすることである。新たな業務に適応するための相互理解や協力関係を醸成するなどにより、現場のモチベーションも向上する。
 この改革で実現する業務と人材のきめ細やかなすり合わせは、別の観点ではワークライフバランスとダイバーシティ(多様性)を進めやすくもする。企業と個人の双方にメリットをもたらす改革である。

「生産性向上」に加えて「事業支援サービスの強化」が必要


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