日本の防災技術・ノウハウを活用した海外事業の展開

Point
自然災害の増加を受けて、防災に対する意識が世界的に高まっている。
国内での経験・技術と国際貢献を活用することで、防災はアジア新興国における新市場となる。
防災関連ノウハウは多岐に分散しており、横串での事業戦略を推進する基盤形成が不可欠。

 自然災害は世界的に増加傾向にあり、2012年の被害総額は14兆円に達した。また、気候変動による影響も顕在化しており、世界各地にて洪水などの気象災害のリスクが今後増大することが予測される。このうち、アジア地域の被害は、世界全体の被災者数の約9割、被害額で約5割に達する。
 グローバル化の進展に伴い新興国には重要な産業拠点が集中する一方、政策面では経済発展の優先度が高く、防災に対する意識・対策が立ち遅れている面が否めない。そのため、2011年にタイで発生した洪水被害と同様の被害が今後も新興国で発生し、世界経済に大きな影響を与えることが懸念される。
 わが国政府は、「インフラシステム輸出戦略」において防災を重点分野に位置づけ、国際的な主導権を得ることを目指している。また、世界銀行は、途上国のニーズと日本の技術のマッチングや情報発信を行うための「世銀防災ハブ」を東京に設置することを決定し、日本は5年間で最大100百万ドルの支援を表明した。
 災害大国であるわが国の防災対策は、ODAや災害緊急支援・援助などを通じて国際的にも高い評価を得ている。今後は日本企業が進めるインフラ輸出に、防災の技術や知見を積極的に組み込むことで、海外の災害リスクを低減させるとともに日本企業の強みを生かした新たな市場開拓も期待できる。たとえば自然災害の緊急警報システムは、世界的にも高く評価されているわが国の技術の1つであり、海外事業の核の1つとなりうるものである。
 防災関連事業の展開において、まずは対象国の特性やニーズに応じて、すでにある個別の防災技術を早急に展開することが急がれる。加えて、長期的には、当該国の関連制度や体制などのソフト整備を適切に組み合わせ、トータルなシステムとしてデザインしていく必要がある。このためには、各企業が保有する技術・製品を自ら磨きつつ、政府との戦略的な連携によるプラットフォームを形成し、相手国に対して積極的に提案することが有効だ。2015年3月には、「第3回国連防災世界会議」(10年に1回開催)が仙台で開催される。いまこそ、日本の防災技術の海外への普及のための取り組みを加速する好機である。

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