被災地発の新たな資金供給スキーム

Point
東日本大震災から3年が経過し、まちづくりが本格化するなか、住宅の早期整備が急務。
電子債権を活用した資金支援スキームが、地元建設会社の資金繰りの問題を解決し、復興を後押し。
中小・零細企業への円滑な資金提供は、地域経済の活性化につながる。

 東日本大震災から3年が過ぎた。復興庁によると、2013年11月末時点で岩手、宮城、福島3県のがれきは、97%が撤去済み、91%が処理・処分された。今後まちづくりが本格化するが、早期整備が最も望まれるのは住宅再建である。
 内閣府によれば、102,650人(46,275戸)が未だに仮設住宅に入居している(13年10月)。住宅を自力再建することが困難な被災者のために、災害公営住宅の整備が進められているが、整備完了戸数は509戸で、計画されている21,811戸の2%にとどまる*1
 整備が進まない理由は、宅地適地の不足、用地取得の遅れ、人手不足・資材費高騰による入札不調などが主な原因だが、資金調達も課題となっている。
 自治体が災害公営住宅を建設する場合、全戸の完成後に一括して買い取ることが多い。この方式では、自治体からの支払いは、災害公営住宅が完成し、自治体に引き渡された後になるので、建設会社は前払金や出来高に応じた支払いを受けられない。建設会社は人件費や資材購入費などの必要経費を自前で立て替えることになる。建設会社が被災している場合もあり、工事の円滑な推進には、担保を前提としない新たな資金供給手段が求められていた。
 現在、宮城県女川町では、「自治体がもつ優良な信用力」「電子記録債権」「全国4万社以上が利用している金融インフラ」を組み合わせた資金支援スキームが提供されている。当初、女川町では地元金融機関からの融資を想定していたが、1社だけでは受けきれず、一方で複数の金融機関からの融資は事務手続きが煩雑であるといった問題が顕在化した。そこで、三菱東京UFJ銀行が提供する電子債権サービスである「電手」を活用した融資を念頭に、当社が確実かつ効率的な出来高確認方法を検討し、現在のスキームを提供するに至った。
 この新たな資金供給手段は、これまで利用されていなかった「公的機関がもつ信用力」を最大限に活用し、無担保で融資を行っているのが大きな特徴だ。さらに、「電子債権」というICT(情報通信技術)を活用することで、工事の進捗状況に応じた建設会社への出来高払いを可能にしている。
 日本では今後、復興に加え、各地域のインフラの老朽化対策、東京オリンピック・パラリンピックなど、インフラ整備事業の増加が見込まれる。事業の担い手である中小・零細企業への円滑な資金提供の重要性がますます高まるなか、復興への取組みから生まれた本スキームは有効な打開策になる可能性がある。

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*1 復興庁、13 年11月末。全体計画未定の福島県を除く


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