[復興]除染から復興へ─不確実性を考慮した広域最適志向で

Point
帰還困難区域が残る福島県浜通りの復興に向けた道のりは依然として険しい。
復興加速には、帰還希望者が「元の姿」に込めた思いの理解を。
その実現に、広域最適志向での地域連携を誘導・促進することが不可欠。

放射性物質対策・復興支援チーム 船曳 淳

 福島原発事故により深刻な影響を受けた福島県においても、除染の進展や避難指示解除の開始など、総じて除染から復興への移行期に入りつつある。帰還困難区域が残る浜通りの復興についても、福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想※1の推進・具体化など、国を挙げての取り組みが進められている。
 しかし、双葉郡内の中核機能を担っていた発電所近隣地域の教育や医療、雇用、都市サービスなどの拠点が失われ、その復興に相当の時間を要することは、浜通り全体の大きな課題である。都市や地域は広域圏の中心を起点として周辺に向けて発展するのが一般的だが、中心拠点が長期的に不在となる浜通りはその逆だ。避難指示が解除された外縁部から帰還困難区域を含む内側に向かう地域再編成を前提として、拠点機能を広域的かつ分散的に再配置し、復興の時間軸に沿って柔軟に再形成していく、従来とは異なる計画手法が必要になる。
 加えて、数十年を要する廃炉作業をはじめ、中間貯蔵施設の建設、民間生活サービスの復旧、避難の長期化や廃炉・新産業従事者の流入による住民構成の変化など、さまざまな不確実性が将来像を不透明にしていることも事実だ。各自治体は復興に向けた懸命な努力を重ねているが、自らの復興について「将来が不確実だから復興像が描けない、復興像が描けないから対策を打ち出せない、対策を打ち出せないから復興像の具体化が進展しない」という循環に陥っている。
 避難指示区域内への帰還条件について住民は、(1)放射線の影響・不安が低減(56%)、(2)発電所事故の不安が解消(49%)に加えて、(3)避難元の地域が元の姿に戻る(47%)、をほぼ同水準で求めている※2。復興の加速には、この「元の姿」に込められた真の意味や住民の思いをしっかりと受け止め、復興の時間軸に沿ってそれを実現する新たな姿・形の模索・応援が大切だ。さらに、自治体の個別的な取り組みだけでは限界がある。まずは、避難指示が解除された自治体のみならず今後解除される自治体間で、広域最適志向による官民双方での連携を誘導・促進することが不可欠だ。

浜通りおよび周辺地域の避難区域などの現状

*1:新旧住民の雇用や生活基盤の確保を念頭に、廃炉の研究開発拠点、ロボットの研究・実証拠点の整備など、浜通り地域の将来的な新産業の可能性について、地元を含む産学官有識者による研究会が提起した構想。

*2:福島県「福島県避難者意向調査(応急仮設住宅入居実態調査)」(2014年3月)による。


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