[防災]日本の経験を生かした防災ソリューションを世界へ

Point
日本の強みは多くの災害経験を教訓として高めた事前防災・減災対策。
日本防災プラットフォームの取り組みは防災技術海外展開の試金石。
3月の国連防災世界会議は、日本の防災ソリューションを提案する好機。

科学・安全政策研究本部 関根 秀真

 都市の集積化や産業のグローバル化に伴い、災害による経済損失は世界的に増加傾向にある(図)。さらに、気候変動による自然災害リスクは地球規模で増大しており、国、地域社会および産業への悪影響を回避し強靭(レジリエント)な社会を実現するための取り組みは待ったなしの状況である。
 日本の防災技術は、自然災害に対して真摯に向き合い、経験・教訓を糧として将来の災害に対して備える「事前防災・減災対策」を重視することに特徴がある。しかし、世界的には防災関連の投資は災害発生後の復旧・復興に偏っており、日本が得意とする事前防災・減災への取り組みは一般的ではなかった。また、日本の提案は個別技術のアピールに偏っており、現地ニーズに基づく課題解決力の不足が指摘されてきた。このため事前防災・減災に有効なソリューションを海外に提供できていない。
 これらの課題認識を踏まえ、昨年6月に新たな民間主体の組織として「日本防災プラットフォーム(Japan Bosai Platform : JBP)」が設立された。同組織は、防災技術の海外展開を目指す民間企業約100社が加盟する任意団体であり、防災分野において業界や分野を超えた産学官の防災関係者が集まる初めての場となる。今後、日本の事前防災・減災への取り組みを積極的に海外へ発信するとともに、経験と教訓に裏付けられた日本の技術を現地ニーズに合わせて適切に組み込むことにより、世界の防災・減災対策においてイノベーションを起こすことを目指している。
 折りしも、今年3月には、10年に一度の国際会合である「国連防災世界会議」が仙台で開催され、各国政府、国際機関、民間組織など世界から4万人以上の参加が見込まれる。同会議では、2005年に策定された兵庫行動枠組みに続く今後10年間の新たな国際防災の枠組みが策定される予定である。防災・減災への事前投資の拡大、民間セクターの関与拡大を含む「防災の主流化」*1がこの枠組みの鍵となる。同会議は日本の防災ソリューションを提案する絶好の機会であり、災害に強い社会の実現に向けた国際社会の取り組みが加速することを期待する。

災害による経済的損失は増加傾向 (OECD諸国、BRIC諸国)

*1:国連の国際防災戦略(UNISDR)が最初に用いた用語。(1)政府が「防災」を政策の優先課題と位置づけること、(2)すべての開発政策・計画に「防災」を導入すること、(3)「防災」に関する投資を増大させること、の3つを意味する。

*2:http://www.oecd.org/tokyo/newsroom/countries-must-improve-resilience-to-disasters-or-face-mounting-costs-oecd-says-japanese-version.htm


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