[防災]「仙台防災枠組」から始まる国際的取り組み

Point
具体的な達成目標を伴う国際的防災戦略の新たな枠組みが決定。
経済活動の国際的相互依存関係を踏まえた関係国の「協働」の視点が重要。
持続的な経済・社会実現への国際的取り組みが加速することを期待。

科学・安全政策研究本部 関根 秀真

 3月に仙台市で開催された第3回国連防災世界会議は、世界187カ国・地域の防災関係者出席のもと、2030年までの国際的防災戦略の新たな指針となる「仙台防災枠組」を採択し終了した。本会議は、東日本大震災の被災地での開催となり、震災の経験と教訓を国内外に広く発信する機会となった。一方で、気候変動に対する責任や防災技術への協力のあり方を巡り、先進国と途上国の間の対立が鮮明となった。
 「仙台防災枠組」のポイントは、被災者数、経済損失など7項目の具体的な目標を設定し、防災戦略としては初めて達成目標に期限を設定したことにある。会期中には、日本政府も防災主流化を踏まえた国際貢献策「仙台防災協力イニシアティブ」を、安倍首相が自ら発表した。その基本方針は「長期的な視点に立った防災」「より良い復興(Build BackBetter)」「中央政府と多様な主体の連携」である。具体的には、(1)法・制度・人材育成策などのソフト支援、(2)経済・社会基盤整備などのハード支援、(3)グローバルな協力と広域協力の推進を効果的に組み合わせた協力が示されており、18年までの4年間で集中的に防災・減災の国際的取り組みを日本が主導する。防災分野における民間セクターの貢献も期待されており、日本企業の活躍の機会も増えるだろう。
 企業活動のグローバルな供給網によって、国や地域間の経済活動の相互依存関係は高度化・重層化しており、災害の経済的・社会的影響は国境を越えて波及する。産業集積と都市化の進展もあり、自然災害の経済被害は世界的に増加傾向にある。このため、各国の立場の違いはあっても、災害リスクに対する共通理解をグローバルな視点で醸成し、行動することが不可欠である。日本の貢献策も、国・地域間の依存関係を踏まえ、持続的な経済・社会の実現に向けた関係国の「協働」の視点が必要となる。
 今回の会議を契機に、国際的に防災・減災の視点が取り入れられたインフラ整備や都市開発が進められるだろう。防災・減災対策は災害時だけでなく、平時の安全・安心な社会を実現する仕組みにもなる。各国の共通理解のもとで、防災・減災に向けた国際的な取り組みが加速することを期待したい。

図 国連防災世界会議と防災戦略


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