[感染症]感染症パンデミックへの備えを見直す

Point
都市化、交通の発達、温暖化などにより感染症パンデミックの懸念が高まっている。
個人としての備え:感染症の疑いのある時にはどうするか、備蓄をしているか。
企業・行政としての備え:BCPは対応できるか、テレワークは導入可能か。

政策・経済研究センター 清水 紹寛

 世界全体の年間死亡者数のうち、感染症によるものは23%を占める。この比率は特に途上国で高い。感染症による脅威は公衆衛生の発達で減少していくと期待されるが、エボラ出血熱、MERSなどが猛威を振るったことは記憶に新しい。新興・再興感染症が、都市化や交通の発達、温暖化などにより、国境を越えて世界中にパンデミックを起こすのではないかと懸念されている。
 中でも人から人へと感染する強毒性新型インフルエンザ(H5N1)は、出現が確実視されていること、致死率が高いことなどから、最も恐れられている。海外で発生すれば、2~4週間で日本に上陸し、17~64万人の死者が出ると国では予測している。国はまた、職場への欠勤率を最大40%、欠勤期間を10日間と想定しているが、一地域での流行は約8週間続くので、さまざまな社会機能がマヒする。国民生活や企業活動にも深刻な影響が及ぶことは間違いない。別の推計によると、経済的被害は日本全国で16~77兆円になるという。
 パンデミック対策として、個人、企業、行政で周到な準備と適切な対応が求められる。まずは自分や家族が感染に巻き込まれないことだ。感染が拡大している時には出歩かず、自宅で待機するに限る。パンデミックが起これば物流がストップし、近くのスーパーの棚から品物がなくなることが予想される。2カ月分の備蓄があれば安心だ。また、感染の疑いがある場合は、いきなり病院に行くのではなく保健所に連絡して指示を仰がなければならない。医療機関は新型インフルエンザ患者とその疑いのある人であふれ、感染拡大を助長してしまう恐れがあるからだ。
 企業や役所では、従業員の安全を最優先とした上で事業継続のために何をすべきか。出勤可能な人員で最低限のことが回る体制や仕組みを検討しておく必要がある。在宅勤務やテレワークをBCP(事業継続計画)に盛り込むことも有効だ。また、非常時に備えるだけでなく、日常的にこうした時間と場所に縛られない働き方を導入しておけば、パンデミック発生時も慌てることなく、仕事を続けることが可能になる。

図 新型インフルエンザ(H5N1)による人的被害


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