[安全]未来に向けた防災・減災の仕組みづくり―効果の見える化と防災教育への活用

Point
火山災害や気候変動など新たな脅威の一方、防災意識・危機意識は低下傾向。
継続的な防災意識・危機意識の持続と着実な備えの推進が重要。
「防災・減災効果の見える化とモニタリング」と防災教育などへの活用が重要。

科学・安全政策研究本部 堤 一憲

 日本列島は地震活動期に入り、火山活動の活発化、さらに世界的な気候変動による影響も危惧されるなど、災害の巨大化に至る次なるステージへ突入したとされている。一方、阪神・淡路大震災から21年、東日本大震災から5年が経過し、防災意識・危機意識は徐々に低下傾向にあるというのが実感である。

 例えば、防災先進県である三重県の「防災に関する県民意識調査」によると、「震災後、時間の経過とともに危機意識が薄れつつある」と回答した割合は、41.9%(2012年)、45.0%(13年)、52.7%(14年)と年々増加している。三重県では、防災意識を防災行動に結びつけるために、「新地震・津波対策行動計画」の中で防災人材の育成を掲げており、意識の低下を防ぐためには、この防災人材が核となって防災教育を県内全域に展開していくことがさらに必要だとしている。

 建物の耐震化や津波からの避難対策などは一朝一夕に進むものではなく、継続的な防災意識・危機意識の持続と着実な備えの推進が重要である。これらの意識を実際の行動に結びつけ、その行動を評価しモチベーションを与えるために、災害に対する地域全体の耐力や脆弱性を実感できるような仕組みを構築すべきである。

 地震被害想定などハザードマップやリスク情報の整備は進んできているものの、これに対する地域の防災意識・危機意識の現状や対策効果は必ずしも見える化できていない。今後、地域全体を災害に強いまちとして築き上げるためには、住民一人ひとりの自助活動の結集が特に重要である。そのためには中長期的な防災・減災効果の見える化とその継続的なモニタリングが必要である。例えば、各家庭での防災対策実施状況などを地域で集約し、地域全体の住宅の耐震化率、飲料水・食料の備蓄率などと、対策の効果を表す指標である建物被害率を把握して見える化する。これを、未来への語り継ぎや防災教育などに積極的に活用する。住民が「わが事感」をもちながら防災行動に取り組むことが、防災意識・危機意識の向上につながる。

図 防災対策の実施状況と防災・減災効果の見える化(イメージ図)


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