[安全]「持続可能なセキュリティー」をレガシーに

Point
日常生活や地域経済に影響を及ぼす厳重な警備は、一過性のものである。
おもてなしや技術力を生かして持続可能なセキュリティーを目指すべき。
ヒト・モノ・サービスの安全確保のため、地域一丸で三つの取り組みを実施。

科学・安全政策研究本部 吉元 怜毅

 世界中から観客が集まるスポーツイベントは、テロリストの格好の攻撃対象となる。過去の五輪大会では、国を挙げて厳重な警備が行われてきたが、日常生活の利便性や地域経済に影響を及ぼす厳重な警備は持続可能とはいえない。2020年東京五輪大会に向けて、持続可能なセキュリティーに社会全体でどう取り組めばよいのだろうか。

 日本は、犯罪率が低く安全な国とされているが、多様化・高度化する脅威に備え、大会を契機に社会全体のセキュリティーのレベルを引き上げる必要がある。おもてなしや技術力などの強みを活かし、特別に意識しなくてもヒト・モノ・サービスの安全が確保される「自然体のセキュリティー」が、日本流といえるだろう。具体的には行政・企業・市民が一丸となって、以下の三点に取り組む必要がある。

 ①ヒトに対する関心を高める:おもてなしと警備は表裏一体である。人に対する関心が高くおもてなしを尽くす地域では、お互いの信頼感が高まり、訪日外国人と地元住民とのトラブル軽減や、悪意をもつ第三者による犯行の抑止効果が期待できる。

 ②先進技術を活用する:IoT・IoE※1が普及する今後の社会では、セキュリティー対策が不十分な機器を介したデータの不正取得・拡散、制御システムへのサイバー攻撃とそれを端緒とした物理テロなど、脅威が多様化していく。危機管理も高度化が必要であり、現実空間と仮想空間をまたぐ危機への対処には、センサ-・ICTの活用が必要だ。その際、プライバシー監視社会に関する合意形成が鍵となる。

 ③災害対応の仕組みを活かす:災害大国日本では、実災害時の対応経験や、事業継続計画、訓練の取り組みが豊富である。大会期間中は大規模テロ、サプライチェーンへの異物混入、交通渋滞など、製品・サービスに影響を及ぼす多種多様なリスクが存在する。行政・企業は、これまでの取り組みを強みとして活かすとともに、大会を契機に見直しを行っておくことが、大会後の差別化要件にもなる。

 以上の三つを社会全体で意識して実装することで、自然体で持続可能なセキュリティーが可能になり、今後も引き継いでいくべきレガシーとなる。

図 持続可能なセキュリティーの概念図

*1:Internet of Everything.


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