[ヘルスケア]医療の未来をつくる新しい番号制度

Point
2018年度に医療・介護間で個人の診療情報などを連携するID制度が創設される。
医療・介護高度化、ウェルネス市場活性化など幅広い波及効果が期待できる。
普及促進には、国・自治体・関連企業の一体的な取り組みが鍵。

社会ICT事業本部 堀江 晴彦

 医療分野では、電子カルテの導入、地域医療ネットワークの構築、診療情報や介護情報のデータベース化などの取り組みが進められている。しかし、医療・介護などの関係者間の相互運用性が十分確保されておらず、総合的な情報活用には限界がある。こうした状況のもと、国は、情報を異なる組織間で連携・活用するため、2018年度をめどに地域医療連携用ID(仮称。以下、医療ID)の運用を開始する予定である。

 医療IDが導入されると、別々に管理されていた情報を照合でき、検査・投薬の重複防止や医療・介護連携の効率化などにより、医療費の抑制に資する。救急時のアレルギーや疾患情報の共有、介護度を上げない効果的なサービスの提供、慢性疾患の重篤化予防などの効果も期待できる。さらに、集約したデータを匿名化した上でビッグデータとして利用することも可能だ。これらのデータは、国・地域における医療政策の立案や、医療機関・製薬会社における研究・創薬・治験、介護施設や医療・介護機器メーカー・物流・食品など幅広い利用と、業際連携による新市場創出も加速させるだろう。

 こうした医療IDの導入効果の大きさを考えると、個人情報保護、不正利用防止、運用コストの低廉化など、今ある課題の検討を進めながら、同時に全国展開に向けた普及促進のための取り組みを急ぐ必要がある。

 医療IDは、あらかじめ地域に合った最適な利用方法が提示されるのではなく、手探りの状態から始めるため、ほかの自治体・医療機関の現場起点での医療ID活用の成功事例が貴重な情報となる。まずは、地域包括ケアシステムの効果、関連企業の新商品・サービス、住民が享受する便益などについて、各関係者がおのおのの立場で積極的に情報発信することが重要である。次に、これらの情報を集約し関係者で共有できる仕組みの構築が求められる。これらの情報は、民間企業にとっても、新しく自由な発想に基づくサービスや製品開発という点で有用なものとなる。

 こうして国・自治体・医療機関・関連企業が一体感を醸成することが、医療IDの普及を促進し、新規ビジネス開発などを通じて関連産業の活性化にも寄与する。

図 医療IDの活用イメージ


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