[復興]原子力災害と復興を学ぶために民間発で白書を作ろう

Point
原子力災害と復興の記憶を将来の世代に確実に伝えることが求められている。
復興への取り組みに加えてそこからの学びを記録することも重要。
復興の全体像を若い世代とともに学び伝える民間発の白書をまとめる。

原子力安全研究本部 義澤 宣明

 1000年に1度といわれる東日本の超巨大地震とそれにより発生した原子力災害は、今世紀最大の出来事の一つだ。30年、40年先を見据えた復興や福島第一原発の廃炉への道のりは、世代を超えて永く語り継がなければならない。その内容は、「復興への道筋」と「廃炉に向けた道筋」を中心に、いくつかのテーマに整理できる。テーマが多岐にわたることで、復興の全体像が見えにくくなる面もある。ぼやけた全体像は震災復興の記憶を風化させる。

 風化を防ぐには、震災、原子力災害および復興の全体像をコンパクトに把握できる資料集と、将来の世代に語り継ぐべきことを広く継続的に国民に紹介していく記録集を整備する必要がある。国による大規模で継続的な事業の成果や課題を定期的に公表するものとして白書*1の形式が一般的だが、国まかせの姿勢のみでは震災復興の風化に歯止めをかけられない。国民が復興から何を学んだかを記録することも重要であり、その部分は従来の白書の枠には収まらない。

 そこで、民間主導の新たな試みとして若い世代の学びにも利用できる学習支援型の白書(「民間発 福島復興白書」)の発行を提言する。全体の構成案は図に示したとおりである。「帰還促進」「復旧対応」「不安との向き合い」「求められる支援」などを背景としたさまざまな復興事業が、「どこを目指して、どこから始められ、今どこまで進んだのか」を明確にして、復興がどのように進められているのかを目に見える形でまとめていく。さらに若い世代が学び取ったことも記録として残していく。中学・高校の授業や課外活動に学びや議論の機会を設定することも有効であろう*2。震災の教訓や復興の苦労とその成果の定期的なまとめは、年代的な記録として次の世代にも伝えられていく。もちろん国や自治体の復興事業全体のフォローアップの参考にもなる。

 現在の復興事業に加え、さまざまな白書の作成や教育支援事業に関わってきた当社は、この試みに自ら取り組むことで、原子力災害からの復興と地域の再生に、これまで以上に貢献したいと考えている。

図 「民間発 福島復興白書」の構成案(1~8章)

*1:国がまとめる白書には法律により国から国会に報告されるもの、各省庁から閣議に提出されるものなどがあるが、近年は民間発の白書の発行も盛んになってきている。

*2:被災地域と全国の学校をネットワークで結んだテレビ会議などの取り組みも期待される。


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