[業務改革]受注生産型製造業で進行するビジネス変革

Point
受注生産型の日本企業と海外企業の間で競争力に差がつき始めている。
海外企業は営業効率化を手始めに経営全体のビジネス変革を進めている。
日本企業は先進事例から学び、段階的に経営改革を進める必要がある。

ものづくり革新事業センター 加藤 哲彦

 日本の受注生産型企業が市場での競争に苦しんでいる。かつては顧客の細かい注文に一つひとつ丁寧に対応して設計開発してきたことが競争上の優位性をもたらした。しかし先進的な海外企業は、既成のパーツの多様な組み合わせから選択させる、いわゆる「モジュラー化」を取り入れ、製造だけでなく「見積もり」にかかる時間とコストを大幅に圧縮している。米GEはモジュラー化に積極的に取り組んでおり、以前は数カ月かかっていたプラント設備の見積もり作業に1日で対応できると宣言している。

 モジュラー化で見積もりを革新した企業に共通するのは「コンフィグレータ」と呼ばれるデジタルツールの導入実績だ。コンフィグレータで蓄えた見積もり履歴データの分析により、顧客ニーズの高いパーツが洗い出され、最適なモジュールが構成される。顧客ニーズに高いレベルで応える形でモジュラー化とその組み合わせ構成の最適化が実現でき、見積もりから製造工程まで全体の圧倒的なリードタイムの短縮が可能だ。

 コンフィグレータの導入は、モジュラー化を推し進め、製造と営業のコストを削減すると同時に、顧客要望に応じた製品を大量生産並みのコストで提供する「マスカスタマイゼーション(個別大量生産)」への足がかりとなる。さらに、営業や設計の見直しに要していた経営資源をほかの業務へ投入することもできる。例えば、製品を知りつくした設計者がサービス開発でも価値を生み出す。デンマークのプラント装置メーカーであるFLSmidthはマスカスタマイゼーションを推進し、製品付加価値を高めるサービス提案に注力したことで、サービス事業を拡大しビジネス変革に成功した。

 競争力復活に向けて日本企業は、先進事例に学び、段階的に経営改革を進める必要がある。第一段階はコンフィグレータを導入した営業効率化。第二段階は営業以外のプロセスで価値を提供するバリューチェーンの進化。第三段階はサービス事業の増強やマスカスタマイゼーションなど、事業構造の大幅な見直しを含めたビジネス変革となる。まずは営業効率化に取り組むことが、製造現場の強さに立脚してきた日本の受注生産型製造業の抜本的な変革を進めることに直結するだろう。

営業効率化を起点としたビジネス変革のイメージ


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