[経済]年金受給51兆円、家計所得が「高齢化」

Point
高齢化が進む中、家計が2015年度に受け取った年金は51兆円に上る。
家計所得に占める年金比率は大幅に上昇し、2015年度には23%。
年金比率の上昇は、景気回復時の自律的な回復力を弱める可能性がある。

政策・経済研究センター 森重 彰浩

 日本は世界に先駆けて超高齢社会に突入している。65歳以上の老年人口比率は、2015年時点で既に4人に1人を上回っており、2036年には3人に1人となる見込みだ。高齢化の進行は、働き手の減少による人手不足、社会保障費の増大による財政赤字の拡大など、影響を多方面に及ぼす。

 高齢化の影響は家計の所得面にも及ぶ。内閣府の「国民経済計算年次推計」によると、2015年度に家計が受け取った年金は51兆円に上る*1。同年度に現役世代が受け取った賃金・俸給は224兆円であり、これに対する年金受取額の比率は23%となった(図)。同比率は1980年度時点ではわずか7%であったが、高齢化の進行とともに大幅に上昇している。家計収入全体に占める年金の割合は中長期的に増加傾向にあり、家計所得面でも「高齢化」が進行している。

 こうした所得面での高齢化は景気変動にも影響を与える。年金収入の特徴は、過去の支払保険料や運用益に応じて受給額が決まるため、現役世代の賃金に比べ、景気変動に対する振れが小さいという点だ。例えば、2008-09年のリーマンショック時には、残業代や賞与の減少、失業の増加などから賃金所得は10兆円減少したが、年金受給額は2兆円増加している。家計の所得のうち、景気変動の影響を受けにくい年金の割合の上昇が、景気後退時の消費の落ち込みを部分的に緩和した可能性がある。

 その一方で、家計の所得に占める年金比率の上昇は、二つの面で景気回復時の自律的な回復力を弱める可能性がある。第一に、企業業績の回復時にベースアップや賞与アップにより賃金所得が増加したとしても、その恩恵が及ばない所得の割合が高まっている。第二に、増加する年金受取額の主な財源は、現役世代の保険料や税金であり、税・社会保険料負担の重さが現役世代の消費抑制要因となっている。

 足元の日本経済は景気回復局面にあり、2017年9月まで継続すれば「いざなぎ景気」を抜き戦後2番目の長さとなるが、景気回復の勢いは過去に比べて弱い。その要因として、こうした家計の所得面での「高齢化」の影響は小さくない。

増え続ける家計の年金受取額


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