[高齢社会]「介護ロボット」を在宅で活かす

Point
今春の優遇措置に伴い、施設や事業所で「介護ロボット」が増える見込み。
一般家庭では、家電の新技術が高齢者や家族を支える機能を担う。
介護ロボットも暮らしの中で捉え直され、多様な技術の活用が進む。

ヘルスケア・ウェルネス事業本部 高森 裕子

 国が後押ししている「介護ロボット」の普及に、2018年4月の介護報酬改定で弾みがつきそうだ。導入した特別養護老人ホームに報酬加算が認められるためである。国が開発支援している介護ロボットは、高齢者を起き上がらせる際の肉体的負担を軽減するため介助者が装着するパワードスーツ、要介護者の体調や動作の異変を感知して教えてくれるセンサー、歩行や入浴、排せつを支援する装置など、介護の特定の場面で利用される。その多くは、介護施設向けに開発と導入が進められており、一般家庭に広く普及するような身近な存在にはまだなっていない。

 一方、一般家庭の家電に目を向けると、「Amazon Echo」や「Google Home」といったAIスピーカーが販売されている。声による求めに応じて電灯やテレビ、ラジオのスイッチを入れたり、欲しい情報を探して読み上げたりしてくれる、アシスタントのような機器だ。国が開発支援している介護ロボットのカテゴリーには当てはまらないが、その機能は、在宅での高齢者や要介護者の健康維持や疾病予防に活用できる。例えば、服薬時間を音声で通知したり、日用品の注文を代行したり、体調や疾患に配慮した食事メニューを提案することなどが可能になるため、これまで誰かに頼んでいたことを一人でできるようになる(図)。AIスピーカーのように新たな技術を備え、一般家庭で今後普及が見込まれる家電は、要介護レベルの高低にかかわらず、広く高齢者や家族を支える機能を提供でき、生活の中でごく自然に役立つだろう。

 一人暮らしの高齢者が増加して介助者が不足する中、介護ロボットを、施設向け中心ではなく、暮らしに寄り添う機器だと緩やかに捉え直すことを提案したい。汎用化が進むAIなどの技術を介護分野に取り込む契機となる。家電と同様、多様な企業が開発に参入し、生活の中にあふれているニーズに応じた商品やサービスが創出される。また、開発主体が増えて競争も促進される結果、使い勝手がよく安価なものが普及する。このような技術イノベーションの恩恵によって、高齢者やその家族がいっそう、張り合いをもてる社会に近づくであろう。

図 「介護ロボット」は暮らしに寄り添う機器へ


関連するコラム・レポート

関連するサービス

MRIマンスリーレビューの目次へ