[環境]食品ロスの削減に向けて

Point
食品流通のサプライチェーンの各段階で「食品ロス」が発生。
一層の削減に向けては各主体横断的な連携・協力も重要。
SDGsの目標を2030年までに達成し食品ロスの削減を。

環境・エネルギー事業本部 大野 絢子

 「食品ロス」とは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品のことである。日本の食品ロスの発生量は年間646万トンと推計されており、国連世界食糧計画(WFP)による食糧援助量の2倍に相当する。内訳を見ると、製造業が140万トン、卸売業が18万トン、小売業が67万トン、外食産業が133万トン、一般家庭が289万トンであり、サプライチェーンの上流から下流に至る各段階で無駄が発生している。

 通常、食品ロスの削減のためには、個社ごとに生産・入手量の調整や在庫調整、値下げによる売り切りなどを行うケースが多い。しかし、局所的に食品ロスを削減できたとしても別の場所で増えてしまっては意味をなさない。そのため、各主体が企業や業種といった枠を超えて互いに連携・協力することが重要であり、それにより一層の食品ロス削減効果が期待できる。例えば東京都は、製造業・卸売業・小売業などのサプライチェーン全体で需要予測情報を共有することで流通量を最適化し、食品ロス削減につなげる実証を行う。食品製造業では受注前に見込み生産をして余剰在庫を抱えてしまい、食品ロスを招くケースがあるが、サプライチェーンの下流にある小売業などと需要予測情報を共有することで、製造過多を抑制し、流通量の最適化を図りやすくする。

 消費者のニーズを直接知り得る小売業や外食産業の果たす役割も大きい。例えば最近は消費者に、「食べきれる分量だけ購入・注文する」「消費・賞味期限間近の食品も購入する」意識が高まりつつある。世帯人数の減少や高齢化による1人あたり食事量の減少を踏まえて、少量ずつ買いたいというニーズに各企業が応えることができれば、食品ロス削減が図られ、顧客の満足度も高まることとなる。

 SDGs(持続可能な開発目標)において「2030年までに小売り・消費レベルにおける世界全体の1人あたりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」と提示されている。食品ロスの弊害は飢餓や環境負荷にとどまらず経済的な損失にも及ぶ。食品ロスへの意識向上により各主体が削減を徹底することに加え、さまざまな連携・協力パターンを模索することが重要だ。

図 食品ロス削減に向けた連携・協力の例


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