[人材育成]人生100年時代の「学び直し」

Point
人生100年時代には「マルチステージ」に適した学びが必要。
受動的に「教わる」から、能動的に「学ぶ」「分かち合う」への転換を。
新たな学び直しビジネスを浸透させるには企業表彰も有効。

オープンイノベーションセンター 高橋 寿夫

 70歳を過ぎても働くことが普通になる人生100年時代には、生涯現役ともいうべき「マルチステージ」なライフスタイル*1 が一般化する。職業人生が長期化すれば、学校で学んだことは、ますます仕事で通用しなくなる。AIやIoTが高度化し浸透する2030年には、職とスキルのミスマッチが顕在化して人材余剰の問題が深刻になる。そして、一つの企業に退職まで在籍し続ける終身雇用制度は現実的ではなくなる。こうした社会変化に向け、「学び」の革新が求められている。

 キーワードは「学び直し」。職業の訓練・転換を支援するのにとどまらず、マルチステージを楽しく豊かに生き抜くための新たなプロセスと位置付けられるべきだろう。教わる(教える)という受動的・一方的な関係ではなく、自律的に学ぶ(分かち合う)という能動的・双方向的な発想を採り入れたい(図)。

 多様な学びとキャリアとを組み合わせて職業人生をサポートする発想からは、新たなビジネスも生まれよう。具体例としては、50代の大企業社員に、地方の中小企業での研修を通じてそれまでとは異質な役割を試す機会を提供し、ニーズが合えばその中小企業への就業を橋渡しするサービスがある。また、育児でキャリアを中断した女性をサポートするため、託児所が併設された施設でITスキルを学ぶ機会を提供するケースもある。サービス運営主体は、こうした女性が就職した先の企業から報酬を受け取るため、学び直しを実質無償にできるという。

 当社が2017年に発足させた「未来共創イノベーションネットワーク(INCF*2)」は、こうした新たな学び直しビジネスを手掛けるスタートアップ*3の支援を行っている。企業が従業員の自律的な学びをサポートすると同時に、外部で学んだ人材の登用を促進すれば、社会全体の活性化につながり、シェアドエコノミーの一翼を担うと期待される。産業界の背中を押す意味で、学び直しの浸透に積極的な企業への表彰制度を導入することが有効ではないだろうか。そうすれば、学びの革新を加速させることになろう。

図 現在と将来の「学び」のあり方


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