[イノベーション]医療ベンチャーエコシステムの構築

Point
厚生労働省が医療系ベンチャー支援に本腰を入れ始めた。
ベンチャー企業の「よろず相談ワンストップ窓口」を開設。
さらに機能を拡大しベンチャーエコシステムのハブ化を目指す。

科学・安全事業本部 八巻 心太郎

 「どんな相談でもいいでしょうか」――。創薬やバイオ、あるいは医療機器など医療分野にベンチャー企業(起業前の研究者や個人を含む)が新規参入する場合、自社内の人材不足、ノウハウ不足は喫緊に解決すべき重要課題だ。そうした悩みの解決を助けるのが、経営者の相談に乗ってくれる「よろず相談所」である。

 2018年1月、厚生労働省は医療系ベンチャー・トータルサポート事業(MEDISO:MEDical Innovation Support Office)を開始した*1。これにより、ベンチャー企業は、薬機法*2の対象となる「医薬品・医療機器・再生医療等製品」に関する事業分野で、事業計画立案、実施体制の構築、研究開発、薬事・保険適用など多岐にわたる内容について、「無料」で相談できるようになった(図)。

 医薬品などの開発は、シーズの発見から動物・人への臨床試験、治験、薬事申請を経て承認に至るまで、10年以上もの時間を要することが多い。必要資金のアドバイスなども含めて、この間のさまざまの支援を多様な領域の専門家(サポーター)約50人と連携して相談に応じている。

 さらに必要に応じて、規制対応であれば医薬品医療機器総合機構(PMDA)、保険関連であれば厚生労働省がMEDISOと連携して対応を行う。日本医療研究開発機構(AMED)、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、科学技術振興機構(JST)、各種ベンチャーキャピタルへの紹介や、知財調査、競合動向調査、市場調査など、外部の有料サービスを受けるための「仕様書を作る」ところまでの支援が可能だ。

 優れた医療関連の技術シーズを社会に導出していくためには、ベンチャー企業単独の取り組みだけではなく、既存の大企業や大学などの研究機関、病院、さらには各種支援機関が有機的に連携する「ベンチャーエコシステム」の構築・発展が必要である。今後、MEDISOはそのハブとなるべく、シーズの紹介、ネットワーキングの場の提供、大企業とベンチャーの人材交流、起業家育成プログラムの実施など、相談対応を核として支援の充実を図る必要がある。

図 MEDISOの支援サービスの概要


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