[ものづくり]「身軽な製品」で競争優位を実現する

Point
製品ライフサイクル全体を通じた顧客価値の最大化が競争優位性を左右。
顧客ニーズが変遷しても即応できる「身軽な製品」を設計する必要がある。
最新デジタル技術を活用した顧客対応の質・量の革新が「身軽」を促す。

コンサルティング部門 経営イノベーション本部 加藤 哲彦

 長期間利用され続ける製品、例えばボイラーのような設備を提供するものづくり企業にとって、販売時点に限らず利用期間全般にわたる価値提供の重要性が増している。ボイラー燃料を石炭から石油に切り替える際に、燃料を燃焼させる部品だけでなくボイラー全体を改造する必要が生じ費用や期間が肥大化してしまうような、いわば鈍重な製品では顧客満足は得られなくなっている。

 これまで同様の受注生産型製品の見積もり作業については、数週間から数カ月かかることもあったが、近年、コンフィグレータ*1の導入により見積もり提示の即時性、柔軟性は大きく改善してきている*2。今後は、長いライフサイクルの中で顧客ニーズの変化へいかに身軽に対応できるかがポイントとなる(図)。

 変化への「身軽な対応」を可能とする製品設計に求められるのが、「大量かつ良質な提案」と「提案の背景にある顧客ニーズの蓄積・分析」である。コンフィグレータの高度な活用により、その実現が可能となる。営業訪問時や設計変更の要望があった時に対面で顧客が購入や設計変更の検討に至った真の狙いなどを会話しながら把握する。これを基に質の高い提案を次々とスピーディーに提示していく。これらの提案を履歴として大量に蓄積し、分析を行うことで、顧客ニーズの変遷の典型例が見えてくる。

 また、複数顧客を分析対象とすることで、市場全体の動きを捉えることも可能になる。すなわち、蓄積した大量データを元に最適な粒度で即応できる設計を事前に行うことで、顧客ニーズの変化に対応できない鈍重な製品を「身軽な製品」に変えることができるようになる。

 顧客ニーズの変遷を捉え続け、その変遷に製品が即応できる設計とすることで、顧客がライフサイクル全体で受け取る価値を最大化することが可能となり、自社の競争優位の確立につながっていく。日本のものづくり企業は、このような最新のデジタル技術を用いて、製造現場だけではなく「営業」や「設計」の改革も積極的に推し進めて行かなければならない。

図 製品ライフサイクルにおける「身軽な対応」


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