[未来共創]ポスト東京五輪のスポーツ施設の有効活用

Point
東京オリンピックに向けて事前合宿に対応した施設の整備が進展。
一部自治体で、事前合宿後における施設の利用を工夫する動きがみられる。
スポーツにとどまらない効果の創出も今後の施設整備には必要。

プラチナ社会センター 片岡 敏彦

 2020年東京オリンピックに向けてスタジアム建設が急ピッチで進む中、海外選手の事前合宿を受け入れるスポーツ施設の整備も着々と進んでいる。こうした施設は東京以外に立地していることが多く、各地域において2020年以降に良い遺産(レガシー)として活用し続けるための方法論が求められている。

 異業種・産学官協働のレガシー創出を目指す「レガシー共創協議会(会長:早稲田大学 間野義之教授)」では、負のレガシーになるおそれのあるスポーツ施設の問題に注目し、大会のホストタウン登録をした自治体などに調査*1をした。その結果、一部の自治体において、事前合宿後のスポーツ施設の有効活用に向けた取り組みが進み始めていることが分かった。

 調査では自治体に対してオリンピック終了後の施設利用の予定を尋ねた(図)。「新たにスポーツ大会を誘致する」が約28%で最も多く、次いで「スポーツ以外の用途も含めた多目的利用を行う」が約23%という結果が得られた。コストセンターからプロフィットセンターへの転換を図るなど、施設の稼働率を高め新たな利用需要の創出を目指す自治体が一定数あることが分かる。また、1割に満たないが、「エリア開発と一体で整備し利用を促進」「宿泊施設・商業施設などと複合化」を予定する自治体もあり、日常、非日常の両面において、地域コミュニティーの創出を促す動きも始まっている。

 スポーツ施設は地域コミュニティーの創出という社会的価値を形成する機能をもつ。地域の代表的なスポーツ大会を開催する施設は、「チームと観客を育てる」受け皿となり、チームの応援を通じて地域の一体感を醸成する。

 1998年に長野オリンピックでカーリング競技の開催地となった軽井沢の場合、大会後に「カーリングの聖地」を目指し、地元チームの結成、各種競技大会の誘致、地域住民も巻き込んだ競技の普及に注力している。今後のスポーツ施設は、住民の交流やブランドイメージ確立など、金額に換算できない多様でポジティブな効果を創出するレガシーになるべきであろう。

図 事前合宿に使用する施設の事後利用の工夫


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