表1および表2 に示したAI活用例の多くは、現在すでに製品化されているAI技術(AIプロダクト)を自治体業務に適用したものだ。一方、AI技術は今後も段階的に進歩すると予想されており、2025~30年頃には、さらなる革新的なAIプロダクトが利用可能となるだろう。
例えば自動車に関しては、自動運転の技術開発が盛んに行われている。また、自家用車を所有せずにサービスとして利用するMaaS(Mobility as a Service)も、大手自動車メーカーを中心に検討が進められている。自動運転+MaaSが実現すると、現在の電車やバスなどの公共交通機関は、より便利で安価な自動運転+MaaSにとって替わられる可能性がある。特に、これまで公共交通機関に頼っていた高齢者や子供の潜在的な移動ニーズが喚起され、新たなビジネスを生み出す原動力となるだろう。また、公共交通機関での移動を前提に配置されていた公共施設も、自動運転+MaaSを前提として、住民にとってより効果的な立地条件(道の駅を拠点とするなど)を考える必要に迫られる。
このように、将来登場するAIプロダクトを視野に入れることで、従来は実現できていなかった魅力的な住民サービスが提供できるようになる。
図2 自動運転+MaaSを前提とした公共施設・公共共通機関のゲームチェンジ
出所:三菱総合研究所