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コミュニケーション 第1回
ポストコロナ社会におけるオンラインコミュニケーションの進化

オンラインコミュニケーションの社会受容性の高まり

先進技術センター 川崎 祐史 2020.11.27

新型コロナウイルスがもたらした社会変化

新型コロナウイルス感染症が拡大したこの半年の間、その影響は医療分野だけでなく、市民生活から産業、社会インフラ、行政分野に至るまで、さまざまな社会現象を起こしました(図1)。

図1

コロナ禍で起こった社会現象

出所:三菱総合研究所

感染拡大防止のために取られた接触制限(非接触)と移動制限によって、市民の通勤通学や不要不急の外出が抑制されました。人との対面機会が多いサービス業に多大な影響が出たのに端を発し、全産業に影響は波及していきました。

また市民生活の物理的な変化によって、市民の間では人とのつながりの大切さを再認識するなど、生き方や価値観の変化がもたらされていて、感染終息後のポストコロナ社会にも継承されていくと考えられます(図2)。

図2

コロナ禍における人間関係の変化

出所:三菱総合研究所「生活者市場予測(mif)」アンケート調査(2020年7月)より作成

コロナ禍で拡大するオンラインコミュニケーションへのニーズ

コロナ禍では、人とのつながりは大切にしたいのに対面で会話ができない、サービスの提供ができないといった歯がゆい状況が生まれました。そこから広がったのがさまざまな形のオンラインでのコミュニケーションです。その利用者はデジタルネイティブ世代だけでなく、例えばテレビ電話のようなアナログなインターフェースが使いやすいとして高齢世代まで利用が広がり、オンラインコミュニケーションの社会受容性は一気に高まりました。ポストコロナ社会となっても、リアルとデジタルが融合したハイブリッドなコミュニケーションが日常となっていくと考えられます。

今後のオンラインコミュニケーションの進化、高度化は、二つのニーズに沿っていくと考えられます。一つは、従来の対面サービスより劣る部分があったとしても、オンラインによってそれ以上のメリットが利用者にもたらされるようにバランスよく設計されたオンラインコミュニケーションサービスへのニーズです。もう一つは、特定の場所・空間・環境が本質的価値をもたらす分野において、リアル体験の価値をさらに高めたり、リアル体験へ新しい利用者層を導いたりするためのオンラインコミュニケーションサービスへのニーズです(図3)。

図3

ポストコロナにおけるオンラインコミュニケーションの潮流

出所:三菱総合研究所

ポストコロナ社会でオンラインによるコミュニケーションが進化する領域とは

人のコミュニケーション・シーンにはさまざまなものがあり、その目的は、情報伝達や認識共有といった記号的要素の強いものから、感情誘起や共感といった感覚的要素の強いものまでさまざまです。また、コミュニケーションの内容も、定型的なものから型に収まらない非定型なものまで幅広く存在します(図4)。

図4

サービス分野におけるコミュニケーション・シーンと進化の方向性

出所:三菱総合研究所

記号的かつ定型的なコミュニケーションにおいては、その対話の相手がAIやロボットに代替されて省人化や自動化が進んでいきます。一方、感覚的かつ非定型なコミュニケーションにおいては、対面でのコミュニケーションがいつまでも残っていくでしょう。その中間に位置するコミュニケーション・シーンが、今後オンライン化が進む領域であると考えられます。

コミュニケーション技術の進化

現在のオンラインコミュニケーションは、音声と画像情報の伝送技術がベースとなっています。今後は対話のバックグラウンドでAIが稼働し、コミュニケーションの会話内容や表情やしぐさから相手の意図や感情を分析し対話を円滑に導くサポート機能が普及してゆくと考えられます。また、相手とは現実空間と仮想空間が融合した空間で対話したり、触覚・味覚・嗅覚や身体感覚を相手に伝えることも可能になります。このようにさまざまな技術を取り込みながらオンラインコミュニケーションはポストコロナ社会に浸透していくでしょう。

今後、第2回コラムでは、オンラインコミュニケーションを進化させる技術について、第3回コラムでは、オンラインコミュニケーションによる小売業、金融業の進化、第4回コラムでは働き方の進化について紹介する予定です。ご期待ください。

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